2045年までの福島県外での最終処分に向けて新たな動き。除染で出た土をめぐり、政府は全ての閣僚が出席する会議を設置する方針であることが、政府関係者への取材で分かった。
福島第一原子力発電所の事故により、福島県の大熊町と双葉町に整備された「中間貯蔵施設」には、これまでに除染で出た土など約1396万立方メートルが運び込まれている。この土の処理をめぐり、政府は林官房長官をトップとし、復興大臣や環境大臣など全閣僚が参加する会議を新設し、12月中に初めての会合を開く方針を固めた。
橘官房副長官は12月4日の会見で、具体的な会合時期などは未定とした上で、次のような認識を示した。「今後、まずは処分を進める上で前提となる除去土壌の再生利用、あるいは最終処分の基準について、今年度末までに策定できるように、しっかりと検討を進めていきたいと伺っています」
除染で出た土は、2045年3月までに福島県外で最終処分することが法律で定められているが、まだ受け入れ先は決まっていない。全ての閣僚が出席する会議の設置により、受け入れ先の確保など対応の加速化が期待されているが…。
「ここにくればなんとなく気持ちが昔に戻るっていうか、何もしなくてもここにいた方がいいかなと思って」と話すのは、中間貯蔵施設の地権者の一人山口三四さん。
大熊町の長者原地区の区長を務めていて、4日も避難先のいわき市から故郷に戻り、公園の整備を1人で進めていた。
「2045年までに県外最終処分」国との約束を信じ、所有権を残したまま国に土地を貸したが、不信感は拭えない。山口さんは「(県外での最終処分は)ちょっとわかんないですね。そのうち(今の場所で)最終処分にでもする、そんな気持ちがあるのかもしれないです。国としては」と話す。
全ての閣僚が出席する新しい会議について、山口さんは「大臣なんかすぐに代わるのもいるし、だからそんなに期待していないです。一度口に出したことは実行するのが当然だから」という。
県外での最終処分を約束した2045年3月まではあと約20年だ。
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