写真はイメージ=ゲッティ

 長引く円安に関連した企業の倒産(負債額1000万円以上)が2022年7月から22カ月連続で続いていることが東京商工リサーチの調べで明らかになった。外国為替市場の対ドルの円相場は4月末に1ドル=160円台となるなど歴史的な円安水準が続いており、原材料を海外に依存する企業の経営をじわりじわりと圧迫している。同社は「円安で原材料価格のさらなる上昇が見込まれる。仕入れ値の上昇分を価格転嫁しにくい中小・零細企業ほど、資金繰りに大きな影響を受けやすい」としている。

 同社によると、4月にも、のれんやマット、クッションなどの販売を手掛けていた「GFプランニング」(東京都)が負債総額1億171万円で倒産した。「急激な円安進行で中国からの仕入れコストが大幅に上昇し、経営環境の悪化から事業継続を断念した」(東京商工リサーチ)という。

 円安倒産の発生はこれで22カ月連続となった。23年度の円安倒産は57件と22年度(36件)の1・5倍に増加している。

 円安は輸出産業にとっては好業績に寄与するが、内需型の産業にとっては海外からの仕入れコストの上昇につながってしまう。新型コロナウイルス対応の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの返済が本格化し、中小企業の資金繰りは苦しくなっている。円安に伴う輸入コストの増加が経営をさらに圧迫することになる。

 中小企業が耐えられる円相場の水準について、東京商工リサーチ情報部の坂田芳博課長は「1ドル=110~120円程度」とみる。急激な円安に価格転嫁が追いつかず、賃上げなど人件費の増加もさらなる資金繰り悪化につながっている。坂田氏は「倒産の統計に『倒産準備中』の企業は入っていない。このままの円安水準が続くと、さらに円安倒産が増える可能性がある」としている。【山下貴史】

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