民事再生手続き申請について記者会見で説明する船井電機の原田義昭会長=東京都千代田区で2024年12月2日、安藤龍朗撮影

 破産手続きが開始された船井電機(大阪府大東市)をめぐり、破産に反対する同社会長で元環境相の原田義昭氏が2日、船井電機への民事再生法の適用を東京地裁に申請した。原田氏は記者会見で「経営に混乱があったのは認めざるを得ないが、伝統と実績ある企業なので必ず再生するという思いだ」と語った。

 破産手続きは10月24日、創業家の関係者で取締役の男性が申請した。これに対し原田氏は同29日、破産手続きの取り消しを求める即時抗告を行い、東京高裁で審理が続いている。

 破産手続き開始後、民事再生手続きが認められるハードルは高いとされる。原田氏側は民事再生の申立書で、破産申請した取締役は10月15日の株主総会で解任されており、申請資格がないと主張。船井電機単体では債務超過でも、子会社・孫会社を含めたグループ全体では約200億円の資産超過にあったなどと反論している。

 原田氏は9月27日に会長に就任した。会見では破産申請について「寝耳に水というのが率直なところだ」と役員間で十分な議論がなかったと強調した。主力の液晶テレビ製造事業を売却して資金を調達し、新事業の開拓を進めれば再建は可能とし「基礎技術はどこにも負けない確信がある」と述べた。

 船井電機は「FUNAI」ブランドの液晶テレビを販売するなど好調の時期もあったが、中国のメーカーとの競争などで業績が悪化。2021年に秀和システム(東京)の傘下に入り、23年に船井電機・ホールディングス(HD)による持ち株会社制に移行した。脱毛サロン大手を買収するなど経営の多角化を図ったものの資金繰りが急速に悪化していた。【安藤龍朗】

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