和服姿の観光客らで混雑する京都市内の歩道=佐藤賢二郎撮影

 政府・与党は29日、訪日客(インバウンド)らを対象にした消費税の新たな免税制度を2026年度後半から始める方針を固めた。国内での免税品の不正転売を防ぐのが狙い。出国時に国外へ持ち出す商品を確認して消費税分を還付する「返金(リファンド)方式」を導入する。12月に取りまとめる25年度の与党税制改正大綱に盛り込む。

 返金方式では、訪日客らが国内の免税店で消費税込みの価格で購入した商品を、出国時に空港などの税関で示し、事前に登録したクレジットカードや現金で返金する方法を想定している。事業者の準備期間などを考慮し、関連法案成立後の26年度後半の開始とする。

 現在の免税制度は、家電や飲食料品など生活に使う商品を5000円以上免税店で買った場合、パスポートなどを提示すれば免税価格で購入できる。免税品を購入した人は、出国時に税関にパスポートを提示する義務があるが、実際は提示しないまま出国するケースが多い。転売して利ざやを稼ぐ組織などが問題となっており、観光立国に水を差しかねない状況になっていた。

 新制度では免税販売の簡素化も図る。衣類などの一般物品と、化粧品や食品などの消耗品の区分をやめ、消耗品に設けている50万円の購入上限額を撤廃して訪日客の消費拡大を狙う。開封したことが分かる特殊包装も廃止して免税店の負担を減らす方針だ。免税店側が転売目的の客かどうかを確認する必要もなくなる。【杉山雄飛】

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