1日のニューヨーク外国為替市場で円相場は対ドルで急騰し、一時1ドル=153円台前半を付けた。短時間で4円以上円高が進んだ。市場では、円安進行に歯止めをかけるため、政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったとの見方も出ている。
米国では同日、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開催。FRBが政策金利の据え置きを発表する午後2時前までは、円相場は1ドル=157円台半ばで推移していた。だが、FRBのパウエル議長の記者会見後の同4時ごろから、円が急速に買い戻された。
FRBは会合後に発表した声明文で「ここ数カ月、2%のインフレ目標に向けた一段の進展が見られない」と明記。物価上昇(インフレ)圧力が根強く、早期利下げは難しいと示唆した。
パウエル議長も会見で利下げ開始が遅れるとの認識を示した。「米国で高金利が続く一方、日本では低金利が続く」との観測から、ドルを買って円を売る動きが活発化する可能性があったが、市場では逆の動きが見られた格好だ。市場関係者からは「介入と考えていい動きかと思う。FRB議長の会見後に市場が円安方向に進むことを懸念し、抑えにいったのではないか」(米銀幹部)との見方が出ている。
政府・日銀は一時1ドル=160円台まで円安が進行した4月29日の外国為替市場でも、5兆円規模の円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った可能性がある。【ワシントン大久保渉】
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