2020年から世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス。新型コロナの対策としてコロナワクチンの接種が推奨され今年4月時点で接種回数はのべ4億回以上となっています。ただその一方で倦怠感などワクチン後遺症の認定件数は8300件を超えています。今も苦しみ続けている『治らない後遺症』の現実を取材しました。
"元の自分に戻りたい" ワクチン後遺症で車いす生活になった女性
イスに座りながら片手で料理をする女性。倉田麻比子さん、42歳。
(倉田麻比子さん)「(Q左手なんですね?)右手は重たいので、この2本しかちゃんと使えないから」
奈良県で夫と娘2人と暮らす倉田さん。新型コロナワクチンの接種以後、手足に麻痺が残っている。
(倉田麻比子さん)「(私の)動きが遅いから下の子がごはん作るよと言ってくれたり作ったら夫か長女が片づけてくれたり分業、分担」
元は看護師として働き、休日は家族とボルダリングを楽しむなど活発に過ごしていた倉田さん。しかし、去年1月。医療従事者として受けた5回目のコロナワクチンの接種直後、高熱に倒れ、目が覚めると手足に力が入らなくなっていたという。
(倉田麻比子さん)「(2023年)1月13日に接種してから1月20日に自分で立てなくなって、自分では40mしか杖を使っても歩けないという状態。あとはけん怠感が強いのと頭痛もありますしめまいもあります」
車いす生活となり、看護の仕事は無期限休職。「原因不明」「異常なし」として病院をたらい回しにされた。ワクチンの後遺症患者と認めてもらうため国の「予防接種健康被害救済制度」に申請し、接種から1年以上経った今年の春にようやく認定された。
(倉田麻比子さん)「(救済認定を経て)ホッとしたというのと、信じてくれた家族や支援してくれた方々がうそつきじゃないという証明はできた。元の自分に戻りたい。そこを目指しています」
家族の支えで症状が改善も・・・
家族の支えを受けながら治療に励んでいる倉田さん。今年の夏には手足や視覚に障害がある人のクライミング、パラクライミングにも通い始めた。脚を手で持ち上げ、工夫して壁を登っていく。
(倉田麻比子さん)「できないと思っていた事が多かったんですけど、『こうやったらできるんじゃないか』と思考は変わりました」
症状も改善に向かい笑顔を取り戻しつつあった。
「着地点に落とし穴、そんな気分です」再び悪化する体調
ところが、今年8月。記者のもとに倉田さんからメッセージが届いた。再び体調が悪化したというのだ。
(倉田さん届いたメッセージ)「着地点に落とし穴掘られていて、気づかずにまんまと嵌まってしまった、そんな気分です」
自宅を訪ねるとーー
(倉田麻比子さん)「目を開けていられないんです。起き上がれないし、目も開けていられない、頭も回らない。目自体の形で痛い。頭も痛い」
診断は白内障と瞼の痙攣。新型コロナワクチンの副反応のデータベースに似た症例があり、眼科で「これもワクチン後遺症の可能性がある」と指摘されたという。
(倉田麻比子さん)「後から後からいろいろ出てくるので、次は何が出てくるんだろうという不安は常にあります」
接種から1年半以上経っても治らない後遺症。倉田さんは出口を求めこの秋から、自宅から約50km離れた兵庫県宝塚市の病院に通い始めた。担当はワクチン接種後に体調不良を訴える患者を100人以上診察してきた児玉慎一郎医師だ。
(児玉慎一郎医師)「いま一番困っている症状は何ですか、けん怠感?」
(倉田麻比子さん)「けん怠感と目が痛いことです。右目」
長引く症状の原因を探るため、この日は血液検査の結果の確認が行われた。倉田さんには筋肉の動きや免疫の働きに必要なビタミンDが不足していることがわかり、今後、薬や食事などで補充していくことになった。
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