※この記事には性被害に関する表現・記述があります
「ストレスが掛かる状況だからといって、オナニーのために小さい子のパンツを盗むことを、普通の人はやらない。性欲というのはなおらないが、どうしていくのか」
松山地裁41号法廷。
窃盗などの罪に問われた22歳の男の裁判が行われていた。
被害額は、およそ400円。
被告の証人として出廷した父親へ、裁判官が問い掛けた。
裁判を通じて見えてきた事件の背景、そこには繰り返された過去の過ち、仕事へのプレッシャー、そして保護司との不和があった。
【この記事は前編・後編の前編です】
◇◇◇時価400円相当のパンツ2点
窃盗などの罪に問われた、Y男被告22歳。
9月25日に行われた初公判に姿を現した被告は、分けられた長い髪に、太い黒ぶちのメガネをかけている。どこか大人しそうな青年といった印象を受けた。
起訴状などによると、Y男被告は7月23日午後2時半ごろ、愛媛県松山市内の住宅に侵入し、物干し場から女児のパンツ2点、時価400円相当を盗んだとされる。
裁判が始まると、Y男被告はその内容について認めた。
◇◇◇2年前、白昼の小学校へ侵入し…
続いて行われた冒頭陳述では、Y男被告の生い立ちや、犯行に至るまでの経緯が読み上げられる。
2年前、水着を盗む目的で白昼に小学校へ侵入した罪で、4年間の保護観察付きの執行猶予判決を受けていたこと、その影響で当時通っていた専門学校から退学処分を受け無職となり、犯行当時は両親とともに暮らしていたこと、有罪判決を受けて以降、定期的に面談していた保護司との関係がうまくいっていなかったことなどが明かされた。
再犯の防止を目的に、日常を両親の監視下に置かれ、自宅から出ることを禁じられていたY男被告だったが、犯行の当日は、ポストの郵便物を取りに行くと言い残し外出。今回の犯行に及んだ。
◇◇◇「オナニーしようとした」
「子ども用の自転車を見つけ、サドルの匂いをかいでオナニーしようとしたが、物音がしたため、断念した」
「隣の家に、子ども用の下着が干してあるのを見つけ、犯行に及んだ」
「水泳キャップを見つけたことから、水着もあるかもしれないと考え探した」
それは白昼の犯行だった。
Y男被告は、目撃した住人によりその場で取り押さえられ、駆け付けた警察官により現行犯逮捕された。
保護司との面談が行われる前日の出来事だった。
◇◇◇いじめ受け「ほぼ不登校に」
証人として、Y男被告の父親が出廷した。
弁護士と検察官からの問い掛けに回答していく。
「(Y男被告は)中学校では、暴力をともなう結構ないじめを受けていた」
「3年生になるころには、ほぼ不登校となっていた」
いじめを受けたことで、社会との関りが希薄になっていったというY男被告だったが、専門学校では才能を見せるようになり、ゲーム関連のプログラミングを学ぶようになる。
『録音した親の声を使って、歌を歌わせること』もできたという。
◇◇◇再犯防止 寝食共にして監視続ける
2年前にさかのぼる。
水着を盗む目的で、白昼の小学校に侵入する事件を起こしたY男被告。
当時行われた裁判でも、同様に証人として出廷した父親は、再犯防止に向けてY男被告の監督を約束。
実際に、その後は妻と2人で寝食を共にしながら見守り、監視を続けてきたという。再び行われた今回の犯行は、その間隙を突くものだった。
また、保護観察付きの有罪判決を受けて以降、保護司との面談を欠かすことは無かったというY男被告。
しかし、その関係は良好では無かった。
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