シリーズSDGs。「地球を笑顔にするウイーク」です。焼酎といえば九州が有名ですが、関東の一大産地が八丈島です。同族経営によって後継者が不足する中、「島の文化を残したい」という思いでその壁を破った作り手を取材しました。

自然豊かな東京・八丈島。豊富なわき水を生かし、江戸時代から焼酎造りが始まったとされています。

島の焼酎「黒潮」は、東京国税局の鑑評会で去年とおととし、優等賞に。しかも、作り手は酒造を継いでわずか2年でした。

沖山範夫さん(51)。来年が創業100年となる坂下酒造の4代目です。

20代は都内のバーで勤務。30代は島に戻り、今とは別の酒造で跡を継ぐことを目指していました。

しかし、立ちはだかったのは同族経営の壁です。

坂下酒造 杜氏 沖山範夫さん
「部外者がやるのは引き継ぎが難しく、うまくいかなかった」

全国の酒造業の後継者は、同族が候補のケースが8割近くで、以前働いていた酒造は同族の後継者が定まらず閉業。

その後、配管工を8年した後、転機が。

坂下酒造 杜氏 沖山範夫さん
「坂下酒造の前任の杜氏が亡くなり、酒造りをやらせてもらえるならと門を叩いた」

坂下酒造の創業一族は。

坂下酒造 創業一族 浅沼一夫さん(82)
「(沖山さんが)八丈で酒造りをしたいとみえたから、その熱意に負けたような形で、門は広くし熱意あってやりたい方がいれば、どんどんやっていけば良いと思う」

沖山さんは2021年、酒造りの責任者=杜氏に就任。今も仕込みから製造、出荷までをたった1人で行っています。

さらに、大きく変えたのが原料の一つ、さつまいも。畑を用意し、自ら育てています。

坂下酒造 杜氏 沖山範夫さん
「地元で作られたもので(酒を)造るというのが、お客様に信頼として伝わっていくと思う」

こだわりは味にも反映されています。

坂下酒造 杜氏 沖山範夫さん
「麦焼酎と芋焼酎のブレンドなんですけど、芋をブレンドすることで後味の甘みが出る」

先代の味を知る島民からも。

「(Q.黒潮、美味しい?)八丈で一番ですね。前は3年に1回美味しくなっていたけど、今はずっとうまくなった。社長が代わったんです」

坂下酒造 杜氏 沖山範夫さん
「昔から飲んでいる方に美味しいと言われるのは嬉しい。(酒造りは)大切な文化なので、ここで生まれた以上は大切に残していきたい。後世にも含めて何か伝えていければ」

伝統の酒を残すために。沖山さんの挑戦は続きます。

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