(桜沢信司気象予報士)
非常に激しい雨をもたらす「線状降水帯」。これを予測する精度を上げるため、海の上で様々な観測をする船が新しくなり、報道に公開されました。

(桜沢気象予報士 24日)
「東京・お台場です。こちらに係留されている船が、およそ30年ぶりに新しくなった気象観測船凌風丸(りょうふうまる)です」

この海洋気象観測船は、全長およそ86メートル。海水や海の上の気象観測を行い、様々なデータを収集する最先端の船です。

(桜沢気象予報士)
「あちらが船の前の方、風を観測する飛行機型の風車がありますね」

甲板には温度と湿度を計る温湿度計や雨量計などが設置されていますが、注目は、高い所に付けられたある機器。大雨災害を減らすのに重要な役割を果たします。

(気象庁 矢野俊彦技術専門官)
「線状降水帯ってありますよね。線状降水帯が形成されるというのは、海の上から水蒸気が大量に運ばれてきて陸地で積乱雲ができる。GNSSという海上水蒸気観測を行うためのアンテナがついている」

船上のコンテナからはバルーンも飛び出して…

線状降水帯は次々に発生する発達した雨雲が、列をなして数時間にわたって同じ場所にかかる現象です。去年6月には、愛知県と三重県にも線状降水帯がかかりました。

愛知県豊橋市では、24時間雨量が418ミリと観測史上最大の大雨になり、市内を流れる梅田川が氾濫するなど被害が相次ぎました。

このGNSSアンテナは、線状降水帯のもとになる、上空の水蒸気の量を詳細に観測することができるということです。

加えて、こちらのコンテナ。中からでてくるのはバルーンです。観測機器をつけたバルーンを1日に2回飛ばし、気温・湿度・風速などを観測。こうして海の上の大気を詳細に把握することで、線状降水帯などの予測精度の向上につなげるということです。

これだけではありません。クレーンを使って、深さ6000mまでの海水を採取。海水の温度や酸性の程度を測り、温暖化など実態把握のための観測も行います。

船には女性船員専用のスペースも

長いときにはおよそ2か月も太平洋上で観測を続けるため、船内環境も充実しています。

(気象庁 長谷川紬さん)
「こちらは女性区画です。女性専用。きょう特別ですね」


女性船員の増加に伴い、凌風丸には女性専用の部屋や洗濯機、シャワールームなどを設け、過ごしやすい環境を整えたといいます。

線状降水帯の予測を向上させ、大雨や集中豪雨などから暮らしを守る。そんな使命を背負い船は太平洋へと向かいます。

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