小林製薬の「紅麹」の成分を含むサプリメントを摂取した人に健康被害が出ている問題。「想定されていない成分を含む可能性がある」と発表された製造ロットのサプリを飲み、緊急入院した女性がCBCテレビの取材に応じました。

(40代女性)
「ショックでしたね。毎日それを飲んでいたんだな、と怖くて…」

こう話すのは、愛知県内に住む40代の女性。1年近く前から、小林製薬の紅麹サプリを飲んでいました。

(大石邦彦アンカーマン)
「紅麹サプリを飲もうと思った理由は何でしょうか」

(女性)
「年に1度、職場の健康診断があって、コレステロールが少し高かったのでサプリを飲んでみようかなと思って…」

健康のため1日3粒、ほとんど欠かさず飲み続けていましたが、ことし2月、体に異変が起きました。

吐き気や食欲不振…小林製薬の会見があって「あっ、これかも?」と

(女性)
「2月の初めごろから吐き気で気持ちが悪くなって、食欲不振、倦怠感、動くのもしんどい感じになりました」

強い吐き気で食べられなくなり、わずか1か月ほどで体重は7キロ減少。かかりつけ医に処方された薬を飲んでも、症状は改善しませんでした。

(女性)
「改善しないので血液検査をしたときに、(3月22日の)小林製薬の会見があって。『あっ。これかも…』と。結果を聞いたらやっぱり腎機能の数値が悪くて『これかな…』と」

2月に飲んでいたサプリを見せてもらうと。

(大石アンカーマン)
「これなんですね。紅麹コレステヘルプ」

体調に異変が起きたあとも原因が分からず、飲み続けていたというサプリ。

(大石アンカーマン)
「製造番号…H3027」

小林製薬が「想定されていない成分を含む可能性がある」と発表した製造番号でした。

診断された「ファンコニー症候群」とは?

症状が改善しない女性は3月、名古屋市立大学病院を受診しました。

(名古屋市立大学病院 濱野高行医師)
「吐き気がひどく腎臓の機能が落ちている状態で、全身状態があまり良くない状態でしたので、(その日に)入院を決めた」

診断は「ファンコニー症候群」。腎臓の尿細管から必要な栄養分などを吸収できなくなる病気で、日本腎臓学会の調査でも、小林製薬のサプリを飲んで健康被害を訴えた人の大半が、同じ診断を受けています。

尿細管が…言ってみれば「“焼野原”の状態」

女性の腎臓の組織を染色した画像を見ると。

(医師)
「赤く見えているのが尿細管。青く見えているのが線維化を起こしている。言ってみれば“焼野原”の状態」

尿細管が青く染まり、広くダメージを受けていることが分かります。女性は緊急入院し、サプリの服用もやめて症状は改善に向かっているといいます。

(大石アンカーマン)
「先生は、この問題の健康被害は何が原因だと思っていますか」

(名古屋市立大学病院 濱野高行医師)
「疑わしい薬剤を止めると改善したということになれば、それである程度、因果関係を推定することができる。この薬剤が原因というふうに考えざるをえない」

医療費は20万円近く…小林製薬には「誠意のある対応をしてほしい」

今後も通院は続き、女性は不安をぬぐえません。

(女性)
「もう少し考えてサプリを飲めばよかったなって」

これまでにかかった医療費は20万円近く。小林製薬は診断書を送るよう連絡してきましたが、医療費の負担についてはまだ何も決まっていないと言います。

(女性)
「腎臓って、一回ダメージを受けると治療しても元に戻らないみたいなんですね。誠意のある対応をしてほしい」

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