朝晩がひんやりとしてきて、鍋を囲みたくなる季節になってきましたが、今、野菜の値段が高騰しています。
その原因は「異常気象」にありました。苦悩する現場を取材しました。
山口県阿武町で、レタスやブロッコリーなどの野菜を育てる農家の鈴尾一夫さん。鈴尾さんは、鍋の具材で欠かせないハクサイも栽培しています。
一見、順調に生育しているように見えますが、このように上手く生育していないものもあります。
そのワケは、今年の夏の「異常気象」の影響だと鈴尾さんは話します。
野菜農家・鈴尾一夫さん
「夕立が少なくなってきて、しかも日照が極めて強く感じられるようになった」「後ろの白菜の上に、黒いシート『マルチ』と言っているが、これが高温になって、白菜の葉っぱがついて、そのまま焼けてしまうとか」
今年は、苗の状態で畑に植える「定植」に適した気候が続かず、本来植えるはずだった苗の一部を遅らせて植えなくてはならない状況になりました。
野菜農家・鈴尾一夫さん
「そうなると、これは負けてしまいます。お互いがそうだと(同じ時期に植えられれば)競って、上へ伸びてきて、玉になる。極端に生育が違うと、負けてしまって『植えたけど意味がない』ということになる」
この夏の気候で、葉を食べてしまう虫の活動期間も伸び、新しい農薬などをまく必要も出てきました。今年の収穫量についてはー
野菜農家・鈴尾一夫さん
「最終的にちゃんと商品になるのが、1200、1300個とかかなと。当初の想定の半分くらいとみています」
このような農家の苦悩は、野菜の「値段」に影響が出てきています。
『安くなる』という感覚が出るかどうか、見通しは難しい
周南市にある青果市場。野菜やフルーツなどが、多く集まります。
野菜の値段について、市場の林さんはー
徳山青果株式会社・林博史専務取締役
「野菜は、たまねぎ、ばれいしょ、にんじん以外は大半の品目で、値段が高くなっているという状態」
トマトは例年の倍の値段、ハクサイやキャベツ、レタスなどは3割~5割ほど高い状態が続いているといいます。
値段が上がっている原因については、高温が続いたことや、降水量が安定しなかったことをあげ、全国から野菜が集まる市場でも品薄の状態が続き、値段が高くなっています。
今後は「気温が落ち着き出荷量が増えるだろう」としつつも、状況は見えないといいます。
徳山青果株式会社・林博史専務取締役
「どの程度、例年と比べて、量が出てくるのかというところは、今のところ分からない。『安くなる』という感覚が出るかどうか、見通しは難しい」
高騰する野菜に「消費者」も「生産者」も苦しむ
一方、白菜を栽培する鈴尾さんは、十分に収穫できない環境でも、価格競争の中で値段をあげられない現状もあると訴えます。
野菜農家・鈴尾一夫さん
「今のような上げられない値段が続いていくと、当然、農業・農家はどんどん減っていきます。皆さん、野菜売り場でも、お米売り場でも、農家がやっていけるのなと考えてみていただけばと」
「異常気象」の影響で、高騰する野菜。
「消費者」も「生産者」も苦しんでいます。
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