福島県内で初めて導入された、新しい横断歩道。
白線と白線の間が広くなっていて、従来のものと比べると、その間隔は「2倍」に広がっています。
意味もなく広げたわけではありません。そこには、ねらいがありました。
今年7月、間隔が「90センチ」まで広げられるように
横断歩道の白線の間隔は、45センチから50センチの間と定められていましたが、今年7月、制度が改正され、今までの2倍にあたる「90センチ」まで、間隔を広げられるようになりました。
福島市にある県立福島高校前の横断歩道は、白線の間隔が45センチでしたが、今回県内の横断歩道では初めて、90センチに広げられました。一体何のために、白線の間隔を広げたのでしょうか?
県警交通規制課・遠藤裕之さん「車が通った時のタイヤの摩耗を軽減することができるので、(白線の)耐久性を向上できることを目的に施工した」
県警によりますと、横断歩道は車のタイヤによる摩擦のため、通常5年以内に塗り替えが必要になります。しかし、白線の間隔が広がることで、車のタイヤが当たる面積が減るため、白線がすり減るまでの期間を伸ばすことができ、塗り直しの「コスト削減」につながるといいます。
白線8本→5本に 事故防止効果も
福島高校前の横断歩道は、約7メートルの幅に白線が8本ありましたが、今回の改修で5本に減りました。その分、費用を削減でき、車のタイヤが当たりにくくなるため、塗り直しの頻度も減ります。
そして、もう一つのメリットは「事故防止」です。白線がすり減っていると、ドライバーが目視しにくくなりますが、白線がすり減りにくくなることで、横断歩道での事故の抑止の効果も期待できます。
これだけメリットがあるため、県警もこうした横断歩道を増やしていくのかと思いきや、実はそう単純にはいきません。白線の間隔が広がることで、影響を受けてしまうという方もいます。その当事者の声を聞きました。
視覚障害者は「混乱してしまう」
白杖を使って、新しくなった横断歩道を渡る1人の生徒。県立視覚支援学校高等部の小野寺陽大(はると)さんです。
小野寺さんは生まれつき弱視で、普段横断歩道を渡るときは白杖で地面に触れた感覚を頼りにしています。ただ、白線の間隔が広がることで、横断歩道の場所が認識しづらくなってしまうことが不安だと話します。
県立視覚支援学校高等部・小野寺陽大さん(17)「白線と白線の間が広いので、止まってしまう。ここで横断歩道終わりなのかなって(思うから)、できれば今の幅のままの横断歩道も残してほしいと思う」
小野寺さんは、色々な白線の幅の横断歩道があると、視覚障害を持つ人は混乱してしまうと危惧していました。
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