日本を訪れる外国人観光客の数が今も増え続け、旅行先として依然、世界的人気を誇るニッポン。その玄関口である成田空港では、知られざる攻防戦が繰り広げられていました。
■空港の検疫所で攻防戦 外国人 なぜそれを日本に?
日本の玄関口、成田空港。そこには多くの外国人観光客が…
10月に発表されたアメリカの大手旅行雑誌の魅力的な国ランキング読者投票で3位のトルコ、2位のポルトガルをおさえ、日本は2年連続で1位を獲得。いま世界中からの注目が高まり続けています。
とはいえ慣れない土地で過ごすためか、皆さんそれぞれの国から“マストアイテム”を持参。
イタリアから来た女性
「これはロンドンで買った水筒なの。日本は暑いからマストアイテムね」
ドイツから来た男性
「ドイツではチョコを食べるとハッピーになると言われているんだよ。だからいつでも食べられるよう持って来たんだ」
一方こちらでは、外国人を必死に説得する人たちが…
アメリカから来た女性
「一口食べれないの?」
職員
「ノーノーノ―」
女性
「持ち込めないの?お願い!」
職員
「ノーノ―ノーノ―…No!」
職員
「けっこう重たい罰則なので、持ってくる際には注意してください」
ここは成田空港にある動植物検疫のカウンター。海外からの荷物の中に持ち込み禁止品がないか調べ、日本を家畜の伝染病や植物の病害虫から守るための“砦”です。
こちらはフィリピンから来た20代男性。持ち込んだのは誰もが良く知る定番グルメ。
職員
「これはハンバーガーですか?」
フィリピンから来た男性
「マクドナルドだよ」
フィリピンのマクドナルドでチキンバーガーを買い、機内で食べようと持ち込んだといいますが…
フィリピンから来た男性
「お腹がいっぱいで機内で食べられなかったんだ」
しかしお肉は、家畜伝染病を日本に侵入させる恐れがあるため持ち込み禁止。廃棄処分に!日本にもあるチェーン店の品でも海外から持ち込むことはできません。
■それ日本に持って来ちゃダメ 中国の人気お菓子の中に…
こちらは中国から来た男性。職員に指摘されたのは大きな箱。開けてみると…大きな丸い食べ物。満月をかたどった中国伝統のお菓子「月餅(げっぺい)」です。
職員
「先週、先々週くらいから月餅の持ち込みが増えている」
実はこの月餅、贈答用お菓子の定番で秋になると、家族や親しい友人と食べ、幸福を祈るのが中国の昔からの習わし。ということでこの時期、北京市内のスーパーは月餅だらけ…
日本にやってくる中国人観光客の持ち込みも増加。しかし!
職員
「肉製品入っていますか?」
中国から来た女性
「入ってないわよ」
職員
「お姉さん、これロウ(肉)じゃない?」
中国から来た女性
「お肉?無いわよ!」
職員
「お姉さん、これはロウ(肉)ですよ」
月餅の中に豚肉を発見!家畜伝染病対策で持ち込み禁止です。
実は月餅には豚肉などのお肉が入っているモノが多く、毎年空港検疫に持ち込まれるケースが増加。
農水省はSNSで注意を呼びかけています。
■手作り弁当&母国の味でも…
このほか、フィリピンから来た50代女性が持ち込んだのは…
職員
「(箱のフタを開ける)ノー、ミート」
母国のごちそう、豚の丸焼き「レチョン」。こちらも家畜伝染病を日本に
侵入させる恐れがあるため持ち込み禁止。
ドイツから来た20代男性が持ち込んだのは彼女の手作り、ドイツで一番人気のフルーツ「リンゴ」と「ピザ」のお弁当。
ドイツから来た男性
「ドイツを出るときに彼女が“お弁当”をつくってくれたんだ」
ところが…
職員
「ドイツからはリンゴが持ち込めないものになっておりまして」
生の野菜、果物の場合、病害虫などが国内に入る恐れがあり持ち込み禁止。ピザと一緒に廃棄処分に。
ドイツから来た男性
「彼女メッチャ怒るかも。どうしたら良いかわからないよ」
■大量のお米 いま高いから?
日本を守る動植物検疫の現場で無くてはならない存在が「検疫探知犬」。
訓練を受けた鋭い嗅覚で、真空パックの中身をも嗅ぎ分け…
Nスタ
「検疫探知犬が“お座り”をしました」
この“お座り”が発見の合図。
職員
「チェック!チェック!OK?」
職員
「こんなに重いんですね」
スリランカからのご家族が持ってきた大量の荷物。
一体何が入っているのか、職員総動員で開けていきます。すると…
職員
「ガーリック!ガーリック!」
職員
「ノー!マンゴスチン、ノー!」
母国の野菜や果物14種類、36㎏分を発見。全て持ち込み禁止です。
と、ここで!
職員
「ライス、ライス、ダメ」
スリランカから来た女性
「スリランカのスペシャルなお米なのよ」
黄色い袋に入っていたのは、スリランカのお米。一時期、日本では品薄だった事から高くて買えないと思ったのでしょうか。どうしても持ち込みたいと女性は職員にお願いを開始。
スリランカから来た女性
「私の娘が病気なので食べさせないとだめなの。わかるでしょ!だからお願い!」
職員
「ソーリー、ソーリー、ソーリー、ジャパニーズルール」
スリランカから来た女性
「お米2袋、2袋だけよ」
職員
「ノー。ペナルティー」
お米は病害虫などが国内に入る恐れがあり、持ち込み禁止。願いは叶わず、お米は廃棄処分となりました。
スリランカから来た女性
「日本はいい国だけど、残念。もう疲れたわ」
■プロポーズでもらった花束も
検査で指摘されるのは外国人だけではありません。
職員
「証明書が無いと持ち込めないんですよ」
日本人女性
「あ、そうなんですか?」
こちらは帰国したばかり、20代の日本人女性。持ち込もうとしたのは、バラやカスミソウなどきれいに包まれた花束。
日本人女性
「彼氏からもらったものです。プロポーズでもらいました」
ハワイ・ホノルルでの旅行中、彼氏にプロポーズされたという女性。その時に渡されたのがこの花束なのですが、お花の場合、病害虫などが国内に入る恐れがあり、ほとんどが持ち込み禁止。廃棄処分となりました。
日本人女性
「向こう(ハワイ)でも何も言われなくて、悲しいですけどしょうがないなって感じです。こっちでまたもらえれば…」
動植物検疫所。日本の安全を守るための奮闘は続きます。
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