大型の台風21号 “非常に強い勢力”で沖縄接近 その後本州を縦断も
大型の台風21号は26日午後にはフィリピンの東の海上にあります。まだ雲はそこまでまとまっていませんが、このあと次第に発達して週明けには暴風域を伴うようになるとみられています
気象庁が発表する進路予想では発達しながら次第に北寄りへと進路を変えてフィリピンの東の海上を北上、31日午後には先島諸島の南の海上を中心とする予報円に達する予想です。
31日午後では「非常に強い勢力」と予想されていて、中心気圧は945ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45メートル、最大瞬間風速は60メートルと予想されています。
日本の南の海上の海水温度をみると、これから台風が進む予想の海域では沖縄の南の海上にかけて30℃前後のエリアが広がっています。また、日本の沿岸では8~9月ころと比べると水温は下がっているものの平年よりは1~2℃高い状況です。
台風が進むエリアの上空の風のバラツキも小さく台風が発達しやすい状況とみられます。
気象庁が発表している台風進路予想は5日先までの予報ですが、気象庁や海外の予報機関では、当然その先の進路についてのシミュレーションも行っています。5日よりも先の予想データをみると、沖縄接近したあとは本州接近を示唆する予想データが気象庁や海外の予報機関ともに見られています。
【画像で確認】台風+秋雨前線にも注意 11月2日までの雨・風シミュレーション
仮に11月に台風が本州を直撃することになれば異例のコースとなります。そのあたり気象庁やアメリカ・ヨーロッパの進路予想データについて見ていきます。
過去に11月上陸は一度のみ 本州直撃なら“異例の”コースに
気象庁(JMA)
気象庁が発表している週間天気予報の解説資料です。29日(火)になるとフィリピンの東の海上に台風21号が示されています。その後、北上、31日(木)には沖縄付近に台風中心の「L」マークがあります。その後、台風は北東へと進み、1日には西日本付近に「L」の表示があります。2日(土)には北海道の東海上へと進んでいて、これは台風が本州を直撃して日本列島を縦断する可能性があることを示しています。
気象庁は資料の中で台風21号について以下のように解説しています。
・31⽇から11⽉2⽇にかけて、前線が⽇本の南から東・⻄⽇本付近に北上する。台風第21号が本州付近に北上する可能性があり、台風周辺の暖かく湿った 空気が東・⻄⽇本付近に流れ込んで、前線活動が活発になる可能性がある。最新の台風予報等に留意。
・台風第21号の予想については、アンサンブルメンバー間のばらつきは⽐較的⼩さい。ENSとGSM(気象庁)、ECM(ヨーロッパ)は⽐較的似た予想となっているが、NCEP(アメリカ)は台風の転向が遅く華南 に進む予想となっており、台風の進路の予想にはまだばらつきがある。
気象庁では1951年以降の台風について統計のとりまとめをしていますが、これまで日本への上陸の遅い記録をみると、11月に上陸したのは過去に一度しかありません(沖縄など島は上陸ではなく通過のため含まれず)
仮にこの時期に上陸するようなことがあれば「かなり異例」なことがわかります。
アメリカ海軍も沖縄のすぐ南海上で非常に強い勢力へと発達させる予想
アメリカ軍合同台風警報センター(JTWC)
アメリカ・ハワイにあるアメリカ軍の合同台風警報センター(JTWC)の情報です。ここでは監視すべき対象となりうる熱帯低気圧についての情報や台風となった場合の警戒情報などが表示されます。
台風21号についての進路予想をみると、大きくは気象庁の予想と同じような傾向となっています。フィリピンの東海上で北寄りへと進路を変えてかなり発達させる予想となってきました。先島諸島の南の海上に達したときに最大風速は100ノット以上と予測されています。
ちなみにアメリカ海軍の最大風速はノット表示です(1ノット=約0.514m/s)。ただアメリカ海軍と気象庁では最大風速の定義が異なるため、気象庁の最大風速と単純に比べることはできません。(アメリカ海軍(1分平均風速)の方が、気象庁(10分平均風速)よりも大きな値となります)
【画像で確認】台風+秋雨前線にも注意 11月2日までの雨・風シミュレーション
アメリカ海洋大気庁(NOAA)
アメリカ海洋大気庁の台風21号に関するアンサンブル予報結果です。「アンサンブル予報」は、数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算して、その平均やばらつきの程度といった統計的な情報を用いて進路を確率的に予想するものです。
フィリピンの東海上はまで西よりへと進んだあと、そのまま西へと進み南シナ海へと向かう予想と、次第に進路を北よりへと変えて日本のすぐ南の海上へと進んでいく予想と、かなりバラツキが大きくなっています。気象庁やこのあと紹介するヨーロッパの予報モデルに比べると西寄りのまま南シナ海方面へ進める予想のデータ数がやや多くなっています。
ヨーロッパモデル 本州の南岸にかなり接近の可能性を示唆
ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)
ヨーロッパ中期予報センターによるアンサンブル予報結果です。南西諸島の南の海上までは西寄りへと進んだあと、進路を次第に北東寄りへとかえて、日本の南岸に接近する可能性を示しています。
【画像で確認】台風+秋雨前線にも注意 11月2日までの雨・風シミュレーション
11月1日(金)予想天気図 日米欧3カ国ともに本州接近データも
日米欧3つの予報機関のアンサンブル予報で示された11月1日(金)21時の一例です。これまでに比べると、いずれも台風を発達させて西日本付近へと接近させる予想データでそろってきているのがわかります。
以下に示した各モデルごとのすべての予想メンバーをみるとまだバラツキが大きいことが分かりますが、ここ数日の予想に比べると台風を本州付近へと接近させる予想データが多くなってきました。まだ1週間先の予報となるので確定的なことは言えませんが、次の週末は西日本や東日本でも台風の影響を受ける可能性があるかもしれません、この先は台風の動向にご注意ください。
気象庁(JMA)アンサンブル予報結果(11月1日21時)を確認
アメリカ海洋大気庁(NOAA) アンサンブル予報結果(11月1日21時)を確認
ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)アンサンブル予報結果(11月1日21時)を確認
※台風の最新情報については気象庁発表する台風情報をご確認ください。
【画像で確認】台風+秋雨前線にも注意 11月2日までの雨・風シミュレーション
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