宮崎県延岡市が県内の自治体で唯一取り組んでいる不登校の中学生を対象にしたオンライン学習支援。
去年9月にスタートしてから半年以上が経ちましたが、どのような成果が出ているのでしょうか。

「おはようございます・・」

学校に行けなくなった生徒たちの新たな学びの入口を作ろうと、去年9月から延岡市で始まったオンライン学習支援。
26日は、今年度に入って初めてとなる配信が行われました。

学習支援の拠点となっているのは、市内の熊野江小学校


配信を行う学習支援員2人は、いずれも校長経験者です。

(学習支援員 佐藤欣幸さん)
「非常に充実感はあります。正直やってよかったなっていうふうに思ってます」


配信は、週3回で、午前中におよそ2時間半行われます。

時間割は、体調やこの日の内容を確認する「ようこそ」タイムに始まり、続いて、学習ソフトを使って自分の学力に応じて学ぶ「セルフタイム」。
そして、「オンラインタイム」では、5教科について学習内容を配信したり、地域で活動する人を招いて話をしてもらうこともあります。

なんか涙が出ました

(支援員・佐藤欣幸さん)
「一番驚いたのは、外部の講師の方が来た時にそれまで一言も話さなかった子どもがもうメッセージでいっぱい質問がきたりですね、私は実は・・・で悩んでいてというメッセージをもらってびっくりした」

(生徒のメッセージ)
「私は全然学校に行けなくて、いつも学校にいくと辛くなったり、息が苦しくなったり、行きたいのに行けないのがつらいです」
「初めて自分の気持ちをはっきりと言えたので、なんか涙が出ました」

生徒たちは顔や声を出すことはなく、支援員に分かるのは生徒の名前だけで、やりとりはチャットを使います。

当初は、6人の生徒でスタートしたオンライン学習支援ですが、先月末までの7か月間で、最終的に18人が登録。
3月26日の修了式までに71回配信し、毎回、10人程度が参加しました。

学習支援を続ける中で生徒たちにある変化が…

(生徒のメッセージ)
「オンライン授業を通して、学校に行ってみようという自信が付いて、10月頃から少しずつ行けるようになりました」

また、こんなメッセージも。
(3年生)
「出られるだけ出席して、たくさん勉強して、自分の自信にもつながりました。オンライン授業を受けることができて本当によかったです」
「オンライン学習を始めていろんなことを知ったり、学んだりして、良い半年間を過ごすことができました」

(支援員 佐藤欣幸さん)
「登校できないこともぜんぜんそれは悪いことでも何でもなくて、じゃあ、今の状況で何ができるのかなっていうことを伝えていきたいし、オンラインに入ってみたらどうかなっていう、そういう手助けができればいいかなと思ってます」

着実に成果を出しているオンライン学習支援。その一方、課題も見えてきました。

(延岡市教委・澤野幸司教育長)
「最後まで顔だしで話をする、いわゆる生徒間のつながりというところについては、なかなかそこは最後まで厳しい状況であったということは、先生と生徒と一対一の関係ですので、もっと横のつながりができるような関係ができるようにするためには、どうしたらいいのかといったところは、今年度の課題になっているのかなというふうに思っています」

こうしたオンラインでの学習支援について、引きこもりや不登校の子どもの支援に詳しい宮崎大学教育学部の境 泉洋 教授は・・。

(宮崎大学教育学部 境 泉洋 教授)
「共通しているのは学校とのつながりが弱くなってるということだと思いますので、学校に来られてないとしても、学校とのつながり、教育とのつながりですねこれを実感してもらうってことが、子どもたちにとってはとても重要じゃないかなと思います」


宮崎大学教育学部の境教授は、オンライン学習支援について、次のようにも話しています。

(宮崎大学教育学部 境 泉洋 教授)
「家族以外とつながる機会としても、とらえてもらいたい。学習だけではなくて、心のケアもオンラインを通じてやっていただくことで、気持ちが前向きになって、意欲的になっていくんじゃないか」


延岡市では、2学期をめどにオンライン学習支援の対象を小学生にも広げる予定にしています。

※MRTテレビ「Check!」4月26日(金)放送 「Check!調査班」から

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