新潟市東区の公園のあちこちに…パパ、パパ、パパ!!
平日の日中にもかかわらず、お父さんの姿が目立ちました。

「子どもはいろいろな顔をするので、難しいところも楽しいところもある」
「限られた時間なので、なるべく一緒にいてあげたい」

10年ほど前には「イクメンだね~」なんて言われていましたが、もはや死語。
今や、男性の育児は“当たり前”の時代です。

そこで、育休取得中のパパや育児休業取得の推進に力を入れる企業を訪ね、現状や課題を取材しました。

新潟県の調査によりますと、県内でも男性の育児休業取得者の割合が2023年度には33.7%と、初めて3割を超えました。右肩上がりとなっているそうです。

男性の育休取得率については、政府も新潟県も「2025年度に50%」にすることを目標に掲げています。

政府は、育児休業給付金の支給率の引き上げや、制度の周知、個別の意向確認の義務付けなどで、育休取得率の上昇を目指す考えです。

【岸田文雄総理(3月17日)】
「産後の一定期間に、男女で育休を取得した場合の給付率を、手取り10割に引き上げます」

新潟県でも2024年度から、中小企業に重点をおいた施策を始めています。
従業員300人以下の企業が育休に関する就業規則の変更など条件を満たした場合、県独自の支援金の給付額を25万円に増額。さらに、28日以上の取得などを条件に、育休取得者本人にも5万円を贈ります。

このように国や自治体の支援は広がっていますが、取材を進めると、私たちに求められる『2つの鍵』が見えてきました。

新潟県加茂市の建設会社・小柳建設の青野鉄平さん(30歳)は、2年前に長女が生まれた際に、1か月間の育休を取得しました。

「育休中に、ミルクやオムツなど、子育ての基礎力・ベースができた。すごく大きい。同じ価値観を夫婦で共有できた」

実は、小柳建設は『男性社員の育休取得率100%』を誇ります。

総務部の労務管理チームでチームリーダーを務める伊原友恵さんは、取得対象者1人1人との丁寧な面接が結果に結びついていると考えています。

「以前は、どうせ育休を取っても自分には何もできないと言う社員も多くいたが、それは奥さまと話し合った意見ですか?と聞くと実際にはそうではなかったり…。『あの時 取った方がいいですよ、と言ってもらえて良かった』という声を聞く」

大切なのが、仕事の仕組み作り。
1人が休んでも、業務が滞りなく進む『土台作り』を徹底しています。

「プライベートが充実していると、仕事でのパフォーマンスも出しやすくなると考えている。チームで取り組める環境を整えているので、個人の負担が軽減されて育休を取りやすい環境につながった」

小柳建設では『男性の育休』が結果的に、会社や建設業界のイメージ向上と人材確保にもつながると考えています。

そのために必要となりそうなのが、お互いにカバーしあえる組織の体制の整備。

【青野鉄平さん】
「仕事をため込まずブラックボックス化しない“仕組み”として、普段からチャットなどで共有して現場を回している」

中小企業が多い新潟の県内企業では、一層の工夫と努力が求められそうです。

『男性の育休』に必要な“もう1つの鍵”を探りに、とある集会にお邪魔しました。

父親支援に関するさまざまな活動を行うファザーリング・ジャパン新潟支部の会合で、現在“育休真っ只中”のお父さんたちが集まっていました。

父親同士で、育休中の苦労や悩みや失敗談をざっくばらんに語り合います。

【3カ月の育休取得中 (32歳)】
「今まで料理はしてこなかったので、少しずつでも手際良くしていけたらいい―。妻にはよく、ニンジン生煮えで怒られる」

まさに育児真っ只中の皆さんですが、育児休業の取得には、周囲の反応などを気にして“勇気”も必要だったとのこと…。

そんな時に、社会や会社の『空気の変化』が大きな後押しになった、と皆さん口を揃えていました。

【2カ月の育休取得中 (31歳)】
「育休の取得を迷ったが、最近では上司も先に育休を取ってくれて、『自分も取って大丈夫なんだ』という雰囲気が職場にあった」

【2度目の育休を取得中 (38歳)】
「3年前の上の子の時は、女性は『よく取ったね』と言ってくれ、男性の上司や先輩は『俺の時はなかったよ』と。でも今、下の子が生まれた時は、周りからも育休取得を勧める雰囲気があった」

こうした『機運の醸成』も、育児休業取得率向上の鍵となりそうです。

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