小児がんの治療を巡り「ドラッグ・ロス」が深刻な課題となっています。
大好きな列車のおもちゃで遊ぶ、鈴木幸之助ちゃん(3)。姉と両親の4人で京都市内で暮らしています。
公園で遊ぶのが大好きだった幸之助ちゃんですが、2歳の誕生日を迎えたある日、突然、ある病気が見つかります。
腎臓付近にあったのは約11cmの腫瘍、「神経芽腫(高リスク)」と呼ばれる小児がんの一種でした。
抗がん剤治療や免疫療法などを行ない、腫瘍は小さくなりましたが、高リスクの神経芽腫は4割から5割の確率で再発するとされており、再発した場合の生存率はわずか1割程度です。
(母・瑠衣さん)「日常過ごしているだけでふと悲しみが押し寄せてきたりとか。なんか幸せやなと思ったり…ずっと一緒にいたいなと思うし、ほんまに早く元気になってほしい」
しかし、幸之助ちゃんは去年、肺の合併症を発症、再発しないための治療を続けられくなってしまいました。その時期、アメリカで承認されたのが「エフロルニチン」、神経芽腫の再発リスクを軽減することを目的にした新薬で飲み薬のため負担も少なく幸之助ちゃんにも使用できる薬です。
一方国内での使用には深刻な課題がありました。海外では承認されている薬が国内では未承認となっている「ドラッグ・ロス」という課題です。
背景には承認するための臨床試験などが進んでいないことがあり、仮に使用する場合高額負担となります。
(京都大学病院・小児科 窪田博仁医師)「患者さん自身は(医薬品が)世の中にはあるのに日本では使えない。アクセスを諦めないといけないというなかで非常に辛いをされていると思いますし、私たちも非常にもどかしい」
幸之助ちゃんの両親は新薬での治療を決めましたが、保険などは適用されず、薬代は5500万円あまりかかることが分かりました。
(父・将さん)「最初は1000~1500万円ぐらいじゃないか…持ってる家とかを売ってなんとか準備できるなって話だったんですけど、見た瞬間すごい金額だなって...」
今、両親はクラウドファンディングで治療費を集めています。
(父・将さん)「息子が病気でがんばってます。もしよかったら目を通してください」
4000万円あまりの支援が集まり、幸之助ちゃんは早ければ11月から新薬での治療を始める予定ですが一定のリスクも予想されます。「ドラッグ・ロス」という課題がある中、子どもの命を守る模索が続きます。
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