10月27日に投開票される衆議院議員選挙。各地で激しい選挙戦が行われています。今回は「政治とカネ」の問題で揺れる近畿の注目区、明石市・淡路島などを有する「兵庫9区」の候補者に、それぞれの訴えを取材しました。
裏金問題【無所属 西村康稔さん】政治資金の透明化を進めたい
明石市と淡路島の3つの市からなる「兵庫9区」。自民党派閥の”裏金問題”が影を落とす全国的にも注目の選挙区で、4人の候補者による激しい戦いが繰り広げられています。
(記者リポート)「西村康稔候補を乗せた車が到着しました。無所属での選挙戦が始まります」
前職で元・経済産業大臣の西村康稔さん(62)。自民党の公認を得られず「無所属」での出馬となりましたが、公明党や自民党の地域支部から推薦を受けています。
(無所属・前職 西村康稔さん)「私は連立政権の与党の候補であります。敵は野党です」
かつて幹部を務めた旧安倍派による裏金問題」については、自身の監督責任を認め反省の言葉を並べました。
(無所属・前職 西村康稔さん)「政治不信に繋がるような事態。深く反省しているところであります」
一方、自身の事務所が、派閥から100万円のキックバックを受けたにもかかわらず、収支報告書に適正に記載していなかった問題については、監督責任はあったとしつつあくまで「誤記載」だったと釈明しました。淡路島で行われた出陣式ではこんな場面も。
(無所属・前職 西村康稔さん)「私自身はやましいことは何もない。書き方が間違っていたということで『清和会からの寄付』に修正をした。じつは『不記載ではない』『裏金ではない』、国会であの立憲民主党の枝野氏が質問に立って言いました。その発言を聞いていただきたい」
(政倫審での枝野幸男氏の発言)「たしかに、裏金にはなっていない。西村さんの分については裏金にはなっていない」
(無所属・前職 西村康稔さん)「はい、聞こえました?聞いていただけました?」
そのうえで、政治資金の透明化を自らが率先して推し進めていきたいと有権者に訴えます。
(無所属・前職 西村康稔さん)「公開できないお金はやめる。あるいは返す。余った分を返す。第三者機関のチェックも入れる。罰も厳しくする。そういった法改正も考えながら、やりたいと思います」
西村さん本人にこれまでの戦いぶりについて尋ねてみると。
(記者)「無所属・非公認の影響は感じていますか?」
(無所属・前職 西村康稔さん)「イチからきちんとやっていくだけです。初心に戻ってやる、それだけですね」
(記者)「(立憲民主党)枝野氏の音声を流されていましたけど、あれはどういう意図で?」
(無所属・前職 西村康稔さん)「私自身は責任あることはもう認めて、大臣も辞めました。ですけれども、正確にみなさんに知っていただきたいという思いもあります」
8回目の当選を目指して、反省を胸に 裸一貫で地元を駆け回ります。
泉房穂氏の一番弟子【立憲・新 橋本慧悟さん】子どもの未来を応援
一方、「政治と金の問題」がはびこる国政の刷新を狙うのが、立憲民主党の新人、橋本慧悟さん(35)です。
(立憲民主党・新人 橋本慧悟さん)「政治不信、政治と金の問題、いま日本にはびこっています。師匠である泉房穂さんの思いも私が勝手に背負って、この国を変える」
明石市の前の市長、泉房穂さんの一番弟子とされる橋本さん。去年4月の兵庫県議選ではその泉さんが設立した政治団体から推薦を受けて、トップ当選を果たしました。国政への挑戦を決意したのは、自民党派閥による裏金問題がきっかけだったといいます。
(立憲民主党・新人 橋本慧悟さん)「暮らしている国民が、本当に苦しい中ですので。1円単位で削って領収書もちゃんと保管してやっている中で、なんで裏金づくりを一部の国会議員がやっているんだと。『特権階級かい』と。厳しい声もたくさん届いていますし、私もそう思うので」
兵庫9区で最も若い35歳、最大の武器はサッカーとマラソンで培った「脚力」です。走る。とにかく走る! 車に乗るよりも有権者と話す 機会が増えるのが利点だといいます。4人の子どもを育てる橋本さん、教育無償化や子育て支援の拡充などを訴えます。
(立憲民主党・新人 橋本慧悟さん)「私も、4人の子育て真っ最中です。子どもたちの未来を応援します」
少し遅い昼休憩のため事務所に戻った橋本さんを出迎えるのは妻の紗友梨さんです。橋本さんの国政への挑戦を当初は心配していたといいますが、熱意に押され育児と同時並行で活動をサポートしています。
(妻・紗友梨さん)「全員、子どもたちはパパっ子ですね、残念ながら。最後は、『子どもたちの未来のために』というところが、『自分の子どもたちの未来のために』というところにももつながるよと言われて説得された。仕事と家庭が違うとはいえ、最後は家族のためにも全力で仕事をしてもらう」
(立憲民主党・新人 橋本慧悟さん)「町で走り回って、できることを全力でやる姿勢をみせて、結果で恩返しして、感謝を結果で伝えたい」
家族のサポートを力に変えながら、初当選を目指します。
元官僚【日本維新の会・新人 加古貴一郎さん】災害に強い都市づくりを
続いての候補者は…
(日本維新の会・新人 加古貴一郎さん)「オープンでクリーンな政治、明石から新しい日本を作っていきたい。平等にチャレンジできる、日本を作っていきたい」
日本維新の会の新人、 加古貴一郎さん(61)です。京都大学工学部で建築を学び、去年6月まで国土交通省で地域のまちづくりなどを担当していました。官僚時代の経験を活かして、令和の時代に合った災害に強い都市づくりを進めたいと訴えます。
(日本維新の会・新人 加古貴一郎さん)「明石・淡路の街づくりが、日本の街づくりの牽引者、すなわちリーダーシップをとっていく、そして、世界でも有数の都市圏として認められていく。そういう街にしていきたい。そして、そこに暮らす人たちが本当に心豊かに人生を謳歌できるそういう街にしていきたい」
身を切る改革を掲げる日本維新の会からの出馬。自民党派閥による裏金問題については強い憤りを感じています。
(日本維新の会・新人 加古貴一郎さん)「何に使っているのか、よく分からないということがあった訳なので、そういうことがあってはならないというのは当たり前の話で」「自分自身も、そんなことは絶対にやらないというのは確実に言える」
地図を眺めながら新しい街づくりについて想像するのが好きだという加古さん。じつは、もうひとつの「顔」があります。
(日本維新の会・新人 加古貴一郎さん)「さあ始めよう、このまちから始めよう…」
シンガーソングライター 「きいちろ」としての顔です。尾崎豊に影響を受け中学時代から100曲以上を作詞作曲。CDアルバムをリリースするなど精力的に活動しています。出馬を決めた際にテーマソングとして作った『さあ始めよう』には、地元への愛が込められているといいます。
(日本維新の会・新人 加古貴一郎さん)「明石と淡路が選挙区ですから明石と淡路の街をもっと良くしていきたいなと。良くしていくのは、僕ひとりの力では絶対に無理なので、みなさんと一緒にやりましょうようということで、『さあ始めよう』ということで作った」
(記者)「今回、当選したら『さあ始めよう2』はできますか?」
(日本維新の会・新人 加古貴一郎さん)「どうでしょうね、それよりもまず当選させていただいて、場合によっては地域のテーマソングとして、子どもたちが口ずさんでくれたらうれしい」
兵庫9区で最高齢【共産党・新人 高田良信さん】 ”裏金政治”から脱却を
共産党の新人高田良信さん(78)は”裏金政治”からの脱却を全面に打ち出します。
(共産党・新人 高田良信さん)「パーティーもやらない、パーティーで金が集まって、集まりすぎて、裏に隠しておくような金もない。そしてしかも政党助成金も受け取らない自分たちの力で」
高田さんは最低賃金を時給1500円に引き上げることなどを訴えています。
(共産党・新人 高田良信さん)「若い人のね平均賃金はもうひどすぎると。そういうのを変えたいと。政治の力で変えると」
兵庫9区の候補者の中では最も高齢の78歳。国政への挑戦は初めてで、顔と名前を覚えてもらうために選挙区を駆け回っています。朝から晩まで続くハードな選挙活動ですが、市民とのふれあいで力がみなぎるといいます。
(共産党・新人 高田良信さん)「通りがかりに『頑張ってね』とか、握手をしたときに非常に力強く握られましてね。何か強い手ごたえを感じたんですけど」
路市出身で、農業高校の教員として働いていた経験もあるという高田さん。
(支援者)「勉強家かな」
(共産党・新人 高田良信さん)「分かれば楽しいんですよ」
識で鳴らす高田さんの知識の源は「読書」です。お気に入りは戦国武将が地元・淡路島の大名に上り詰めるまでを描いた歴史漫画。主人公の粘り強さに共感できると熱を込めます。
(共産党・新人 高田良信さん)「人生やっぱり失敗が多いじゃないですか。もうそのまま諦めちゃって終わりの人もいるけど、そういう生き方はしないという点ではちょっと共通している部分があって面白いなと思って」
残りの選挙期間も、粘り強く有権者に訴えたいと話します。
(共産党・新人 高田良信さん)「国民にとっても優しくて思いやりのある政治を実現できるチャンスであることを訴えていきたい」
明石と淡路島を舞台にした4人の戦い。有権者の決断は・・・
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