いよいよ迫った2024年の「プロ野球ドラフト会議」。10月24日、1軍を持つNPB12球団でのプレーを目指す野球人にとっては、まさに運命の1日となる。
静岡県においては、アマチュア選手のみならず、今季からNPBファームリーグに参入した新球団「くふうハヤテベンチャーズ静岡」からもドラフト指名を心待ちにしている選手たちが希望を持って当日を迎える。ちなみに、指名されれば、NPB球団からNPB球団の選手がドラフト指名される“史上初”のケースとなりそうだ。
新球団の開幕投手 早川太貴
北海道出身の早川太貴投手は、最速150キロの直球と変化球のコンビネーションが自慢の右腕だ。今季は開幕投手を務めるなどシーズン前半は主に先発として腕を振り、後半戦はリリーフとしてブルペン陣を支え、シーズン4勝をマーク。7月に行われたフレッシュオールスターでも1回を無失点に抑えるなど、プロの舞台でも通用することを証明した。
早川投手のもとには、すでに阪神タイガースから調査書が届いているとのことで、くふうハヤテからドラフト指名を受ける最有力候補となっている。
ローテーションを守り抜いた先発の柱 二宮衣沙貴
愛知県出身で独立リーグ時代には、最多勝利投手にも輝いた経験を持つ二宮衣沙貴投手もドラフト指名を心待ちにしている。今季、くふうハヤテでは23試合に登板、そのうち、19試合が先発での登板だった。
プロ相手に1年間戦い抜いて5勝、防御率3.18は立派な数字だ。変化球でも、直球でもカウントを整えられ、4月には登板2試合連続で完投勝利を挙げた安定感は、プロのスカウトからも高い評価を受けている。
唯一の懸念点は、来年には27歳になる年齢だろうか。それでも、好相性を印象付けた地元球団・中日ドラゴンズなどからの指名を期待したい。
シーズン盗塁王を獲得したリードオフマン 増田将馬
野手での最注目は、今季のウエスタン・リーグで盗塁王のタイトルを獲得した増田将馬だろう。徳島県出身で2023シーズンまでは独立リーグ徳島で活躍していたが、NPBの舞台でも通用することを知らしめた。
機動力とシュアなバッティングが光る野球センスは、巨人で活躍する兄・大輝に負けず劣らない。今季は、31盗塁に加えて打率.297はウエスタン・リーグ2位の成績。放ったヒットの数102本と、これもリーグ3位の数字と確実にこの1年で実績は残した。
来年で26歳と、二宮と同じく増田に関しても年齢的には今オフでのドラフト指名が大きな意味を持つ。ただ、球団関係者の話では、リーグ戦で対戦した某球団の相手監督からはかなり高評価を受けていたそうで、シーズンでの活躍をもって吉報が届くのを期待したい。
アメリカ帰りの“逆輸入”選手 大山盛一郎
沖縄県出身の大山盛一郎は、異色の経歴の持ち主だ。名門・興南高校を卒業後にアメリカ留学を選択して、渡米。カリフォルニア大学アーバイン校で活躍し、メジャーリーグのドラフト候補として名前が上がるほどに成長。惜しくも指名はなかったが、以降は日本のプロ野球でのドラフト指名を目指して、この夏からくふうハヤテに加入した。
打率は.220と少し苦戦したが、出塁率が.344と選球眼の良さを示したり、守備でも主に守備の要となる二塁・遊撃を守り、動きの良さをアピールした。レギュラーシーズン終了後から宮崎県で行われている秋の教育リーグ・フェニックスリーグでは打撃面でも復調の兆しを見せており、ポテンシャルの高さから指名に踏み切る球団もありそうだ。
守備で魅せた“海人”ショート 仲村来唯也
こちらも沖縄県出身、社会人や独立リーグを経て、今季からくふうハヤテでプレーした仲村来唯也は、自身でも「バッティングか守備かで言えば、自分は守備が売り」と述べる通り、守備力に長けた選手。遊撃手として、イースタン・ウエスタン両リーグを通じて、刺殺数と補殺数でトップクラスの成績を誇っており、深い位置からの力強い送球は圧巻の一言だ。
打撃面でも、チーム第1号となるホームランを含む4本塁打をマーク。小柄な体格ながら一発も期待できる長打力をもって、NPB12球団入りを目指す。大山と仲村は主に二遊間を守備位置とする選手であることから、センターラインの固定に苦戦するチームも多い現状を踏まえて、将来性込みで育成契約も含めた指名を検討する球団もあるだろう。
球団創設時からドラフトでの選手指名をひとつのポイントと挙げていたくふうハヤテ。今回のドラフト会議は、1年間戦い抜いた選手はもちろんだが、球団にとっても今後の球団運営の指針となりうる“答え合わせの場”となりそうだ。
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