今回の『第50回 衆議院議員総選挙』で、衆議院の解散当日の9日に立候補予定者の自民党“非公認”が決まり、全国から注目を浴びることになった「新潟2区」。
2022年に定められた“10増10減”の区割変更にともない、全体の有権者数の3分の1を占める大票田・新潟市西区をはじめ、西蒲区・南区のほか、三条市や燕市などの県央地域にも広がる新しい区域の各地で、候補者たちは舌戦を繰り広げています。
「新潟2区」に立候補したのは、届け出順に、立憲民主党の前職・菊田真紀子さん、無所属の前職・細田健一さん、日本維新の会の新人・井上基之さんの3人です。
【立憲・前職 菊田真紀子候補】
「何百万円もこそっと裏金を作り、キックバックを繰り返していた。国民の皆さまには負担増を押し付けながら、自分たちだけは私腹を肥やし、脱税まがいのようなことをするような人には退場してもらうではありませんか」
公示日から自民党派閥の裏金問題を痛烈に批判した立憲民主党の菊田真紀子さん。
新潟県内の候補者では最長となる8期目を目指します。
選挙戦では、政治改革をはじめ、物価高対策や国公立大学の授業料無償化などを、政策として訴えます。
「まだまだ新しい選挙区での活動量が私も足りておりませんので、今回は街頭演説の回数を増やして、考え・政策を広く訴えたいと思っています」
選挙戦が始まった最初の週末。
菊田さんの姿は、今回から新たな選挙区となった新潟市西区にありました。
西区は2区全体の有権者数の3割を占める大票田で、働く世代も多いことから、週末に重点的に回る作戦です。
さらに住宅街などを街宣車で回りながら、演説できそうなスポットを見つけては車を降りて“ゲリラ街宣”を行い、広い選挙区をくまなく回る戦略です。
「きょうは少なくとも、あと13回。25回はやりたい」
― 目標回数はある?
「あるある。前の日より多く」
そんなハードな選挙戦で、お昼ご飯は一息つける大切な時間です。
この日は、スタッフとともにお弁当をほおばります。
「みんなは特製弁当で、私は定番・のり弁。これ一番好きなの」
そして、食後のデザートは…
「ナシは燕市の人からもらって、ブドウは加茂市の人からもらった。西区ではまだもらってないね」
― これから何をもらえる?
「票を…」
そんな菊田さんのもとへ、力強い応援がありました。
【立憲民主党 野田佳彦代表】
「立憲民主党で一番力を持った影響力のある女性議員が菊田真紀子さんです。ということで、圧倒的な勝利をぜひもぎ取ってほしいという思い」
野田代表は、菊田さんに「必ず勝ち残ってほしい」と、選挙戦2日目に応援に駆けつけました。
相手候補の一人が突如、自民党非公認となったことで全国的に注目を集めることとなった新潟2区。
これまでも激しい戦いを重ねてきた菊田さんからは、こんな本音が…
「私そういう選挙が多くて、かつては“女の戦い”とか言われてましたので…。そういう運命にあるんだなと思います」
【無所属・前職 細田健一候補】
選挙戦初日、最初の演説会場にやってきた無所属の細田健一さん。
聴衆もまだ集まっていない時間からの会場入りです。
― 早いですね?
「そうですね。いらっしゃる方にご挨拶がありますから」
細田さんの選挙戦はお詫びの言葉からスタートしました。
「有権者の皆さま方に大変な政治不信を引き起こしているということ、まずこれを心からお詫びを申し上げたいと思っております」
「深く深く反省をし二度とこのようなことが起きないように身を処していきたい」
自民党派閥の政治資金パーティーで500万円以上の収支報告書不記載があったとして「戒告」処分を受けた細田さん。
解散当日に突如、非公認が決まり、5度目の選挙にして初めて“無所属での戦い”を強いられることになりました。
「確かに派閥からお金を受け取りましたけども、全て政治資金として使い、一銭として使途不明金もなく、全て領収書も公開をされているということ。このことは是非ご理解をいただきたい」
そんな細田さんを支えるのは、自民党の地方議員たちです。
【細田候補の選対本部長 高橋直輝県議】
「細田健一の選対本部長を務めることに、1ミリの後悔も悔いもありません」
「やってやろうじゃないか!なんだろうが、無所属だろうが、細田健一を勝たせてやろうじゃないか」
党の公認は得られなかったものの、自民党新潟県連は細田さんの推薦を決定。
組織力を活かしながら各地を駆け回り、農業の振興や能登半島地震からの復興などの政策を訴えます。
15日には、新潟市西区の市場を歩き、有権者に挨拶しました。
「がんばってがんばって ―」
「ありがとうございます」
「激励いただいて、おミカンもいただいて、本当ありがたかったです」
今回は『お詫びとお願いの選挙戦』だと位置づける細田さん。
食事の時間も惜しんで活動を続けています。
「(車の中に)支援者の方に作っていただいた“おいなりさん”があるらしいから、それをちょっと…。あんまり行儀良くないですけど」
そんな細田さんのもとにも16日、力強い助っ人が駆け付けました。
自民党の総裁選で決選投票まで進み、新潟県内の党員・党友票ではトップの票数だった高市早苗さんです。
実は、細田さんが高市さんに応援を頼んだのは、非公認が決まる前で「本当に来てくれるのか」と心配していたそうです。
「『いや細田さん、絶対行く』と『心配するな』と。『私あなたの応援に行くから』ということで、きょう駆けつけていただきました。高市先生、本当にありがとうございます!」
「こんな優秀な人材を失ってしまったら、新潟県にとって損失ですよ。いろいろあったかもしらんけど、いろいろあったかもしらんけれども、必要な人間、働ける人間、日本国にとって新潟県にとって必要な人間。細田健一を皆さまの力で必ず国政に戻してください」
【維新・新人 井上基之候補】
前職2人の戦いに割って入るのが、国政選挙は初めての挑戦となる、日本維新の会の井上基之さんです。
「今までの日本の政治というのは、不安をあおって負担を増やす。こういったやり方が、私は横行してきたと思っています。そうではいけないんです。『古い政治を打ち破る』これをしっかりと成し遂げるため、この12日間、最後まで走り抜いてまいります」
社会福祉法人の理事長を務める井上さんは、『古い政治を打ち破る』をテーマに、社会保険料の引き下げで現役世代の手取りを増やして経済の好循環を作り出すことなどを訴えます。
「有権者に『あなたの演説には愛がある』って言っていただいて、『ちゃんと高齢者のことも考えていてその上で、地域全体でよくなっていこうよという気持ちを感じるから、俺は応援するよ』とか言ってもらえると、伝わった、良かった、と」
井上さんは出身地の新潟市西区を中心に支持拡大を目指しています。
【選挙カー】
「ご当地 新潟市西区出身 井上基之 井上基之でございます…」
スタッフには大学生などの若い世代も多く、こうした選挙活動そのものが「政治に興味を持ってもらう第一歩になれば」と井上さんは話しています。
“裏金問題”で一躍全国注目の選挙区となった2区ですが、井上さんは「“裏金問題”は争点になる以前の問題」だと、冷ややかな視線を送っています。
「俎上に載せるほどじゃなくて、問題外の話」
「過去最長ですよ、実質賃金が前年比26か月連続マイナスとか…。物価高騰で、みんな苦しいっていうのは、ずっと言っているわけじゃないですか。こういうのをしっかり議論しなきゃいけないと僕は思ってます」
地域の声の代弁者を決める衆院選。
前職2人と新人の三つ巴を制するのは誰なのでしょうか。
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