後半戦に入った衆議院議員選挙。投開票日まで残り1週間となりましたが、やはり“裏金”をめぐる問題が影を落としています。
■野党の乱立で、自民党政治への批判票が分散する構図も
聴衆からのヤジ
「裏金議員、恥を知れ!」
10月15日(火)に公示された衆議院選挙。裏金問題で処分を受け、“公認”を外された萩生田光一氏も街頭演説をしていました。
自民党から非公認 萩生田光一 候補
「この街から再び国政のど真ん中に戻って、皆さんの声を届けながら良い国を作っていきたい」(17日)
「私を国政に出すか出さないか。それは自民党や石破さんが決めるんじゃない。市民のみなさんが判断すること」(15日)
萩生田氏をめぐっては、総裁選で石破総理と最後まで争った“この人”も応援に入りました。
自民党 高市早苗 前経済安保担当大臣(17日)
「とにかく萩生田光一という政治家、何をやっても結果を出す。本人は何があっても堂々としている」
当の萩生田氏は次のように、パーティー収入の“不記載”は「裏金ではない」と訴えています。
自民党から非公認 萩生田光一 候補(17日)
「不記載があったことは事実だが、言われているような事務所で裏金作りだとか、あるいは私的流用だとか、あるいは脱税だとか、そのような事実は一切ない」
対する立憲民主党は…
立憲民主党 野田佳彦 代表(15日)
「(萩生田氏は)裏金の額が多い議員であると同時に、その裏金議員を支えてきた旧統一教会との結びつきも強い」
擁立したのは、カルト宗教問題に取り組んできた元参院議員・有田芳生氏です。
立憲民主党 有田芳生 候補(14日)
「真っ当に暮らし、真っ当に働く人たちが報われない社会がずっと続いてきた。政治家が特権として裏金を抱え込んできた。こんな政治を総選挙で一掃しようではありませんか」
ただ、この東京24区では野党が乱立しており、自民党政治への批判票は分散する構図です。他の候補者は…
日本維新の会 佐藤由美 候補(10日)
「裏金問題は、内輪に利権を分配することを政治と勘違いしてきた自民政権の体質の象徴」
国民民主党 浦川祐輔 候補(10日)
「裏金・旧統一教会も問題だと思いながらも、対案をもってこの街をどう良くするか」
参政党 與倉さゆり 候補(9日)
「私たち参政党は減税を訴えています」
さらに、無所属の畑尻文夫氏も立候補しています。
■“最速解散”により、野党側は選挙区の調整が追いつかず?
裏金問題が大きな争点となる今回の選挙戦ですが、同じように自民党への批判票が分散する構図は、他の選挙区でも目立っています。
自民党から非公認 平沢勝栄 候補(15日)
「いろいろあったから、こういうときは本当に圧勝で…」
たとえば、裏金問題で自民党が公認を外した東京17区。ここでも野党側は候補者を一本化できず、▼日本維新の会から猪口幸子氏、▼共産党から新井杉生氏、▼国民民主党から円より子氏が立候補しています。
一方、いわゆる“裏金議員”の選挙区の中には、変わった構図になったところもあります。
自民党から非公認 三ツ林裕巳 候補(19日)
「公明党から、解散の日に『推薦する』と。収支報告書のこと『全く問題無いと認める』ということで推薦いただいた。“比例は公明党”と皆様のお力をいただきますよう、心からお願い申し上げます」
自民党から公認を外された三ツ林氏ですが、公明党が推薦を出し、全面的に支援しているのです。
背景には、区割り変更によって、石井代表の選挙区がもともと三ツ林氏の地盤だった地域を含むという事情が指摘されます。しかし14日(月)放送のnews23では、石井代表が次のようにコメントしていました。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩 氏
「自民党は公認も推薦もしない候補者に対し、公明党は推薦をする。公明党の倫理の基準の方が自民党より緩い?」
公明党 石井啓一 代表
「私どもの党員・支持者というのは、政治とカネの問題については非常に厳しい感覚を持っている。そういった党員・支持者が納得しているというのは、我々は最大限尊重しないといけない」
公明の推薦を受ける三ツ林氏の選挙区(埼玉13区)でも結局、野党から▼日本維新の会の中原由棟氏、▼共産党の沢口千枝子氏、▼国民民主党の橋本幹彦氏、▼れいわ新選組の高井崇志氏が立候補。無所属を含む5人の候補が乱立したのです。
いわゆる“裏金議員”が出馬する46選挙区のうち、野党側の候補者を一本化できたのは、わずか6つにとどまります。
立憲民主党 野田佳彦 代表(15日)
「本来ならば、裏金議員のところなどは一対一の構図に持ち込むのが勝つチャンスで、その過程(調整期間)が短すぎてできなかった」
政権発足後、“最速”の解散によって、選挙区の調整が追いつかなかったといいます。
自民党 石破茂 総裁(19日)
「自民党に対して厳しい目が注がれていること、私は百も万も承知しています。この選挙でなんとしても我が自由民主党、そして公明党、なんとかなんとか政権を維持させていただきたい」
衆院選は、27日(日)に投開票を迎えます。
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