岸田総理が6月選挙突入なら「政権交代の危険性がある」。裏金処分をめぐっては「『5人衆』は離党勧告以上」。「これでは信頼回復どころか不信感」。子育て支援金は「保険料からとるのは保険料の目的から外れている」。自民党良識派を掲げる村上氏が、歯に衣着せず今の政治の状況をズバズバと斬ってみせます。必見です。
(聞き手:TBSテレビ政治担当解説委員 石塚博久)

“裏金問題” 「今回は次元が違う」政権の「正当性」が問われている

ーー「リクルート事件」「東京佐川急便事件」と比べて今の政治とカネの問題はどうですか?

村上誠一郎・元行革担当大臣:
端的に言いますと、あのときはどちらかというと「個人の代議士」と「佐川・リクルート」。今回、前に問題があった統一教会もそうですが、裏金問題っていうのは派閥単位というか、人数がですね、ちょっと次元が違うんじゃないかなと。統一教会は200人近くに影響が、今回も100人近くだと。つまりあの当時はやっぱりそれぞれの議員が佐川・リクルート・共和と、どういうふうな関係があったということで、やられたんだけど。今回は党全体というかね、そういうふうな捉え方がされる可能性があるわけですから、要するに「安倍政権や自民党政権の正当性」があるのかねと言われても仕方ない、私は厳しい状況だと思いますね。

6月解散総選挙の場合「野党転落の危険性」がある

ーー岸田総理が取り沙汰される会期末の6月解散総選挙をした場合、「政権交代」なり「野党転落」の可能性についてどうご覧になってますか?

村上誠一郎・元行革担当大臣:
起死回生の手が打てればいいけど、打てないで(解散総選挙に)突っ込んだ場合はですね、やはり麻生内閣と同じような危険性があるんじゃないかと思いますね。

ーー選挙の神様と言われる久米晃・元自民党事務局長は「野党に票を入れる理由は、与党に託しても夢は叶いそうにないという有権者の怒りや不満があるときだ」と言ってるんですね。今まさに危ないですよね。

村上誠一郎・元行革担当大臣:
非常に厳しいと思いますね。特に今回(裏金問題が)納税時期と重なりましたから、正直言って"時効”にならないのは過去5年分なんですよね。巷で言われてるように森さんの時代からやってれば、4~5倍のトータル額になる可能性がある。となれば、それはやっぱり国民の皆さんがお怒りになるのがね、本当にあるんじゃないかなって気がしますね。

安倍派幹部の処分「最低でも離党勧告以上のはず」「非常に不透明」

ーー(派閥幹部の処分が)安倍派の会計責任者らの立件から2か月以上も経って決定したというのはどう見ますか?

村上誠一郎・元行革担当大臣:
はっきり申し上げますけど、「党紀委員会」がそもそも公平で公正なのかと。今回よくわかったと思うんですけど、透明化されてるのかどうなのかということですね。まず一番大きな問題は、裁判でも事実が解明しなかったら、普通判決は出ないじゃないですか。だから今回、事実が何も解明されてないわけですよ。結局言うとコロナのときはですね、クラブ行った方が即離党勧告ですよね。はっきり言って、今回の問題は「自民党の信頼」と「政治の信頼」を根底的に失墜させた『次元の違う問題』ですよね。私から言わせれば、5人衆なのか何人衆なのかわかんないですけど、あそこら辺の方はねやっぱり平等に、最低でも「離党勧告」以上のはずなんですよ。それがなんでこんなにばらついてしまうのかと。

ーー塩谷さん、世耕さんは離党勧告ですけど、他は違いますね?処分がばらけています。

村上誠一郎・元行革担当大臣:
もう大体もうおわかりだと思うんですけど、ときの執行部の思惑なんですよ、全てね。だって考えていただいてわかると思うんですけど、塩谷さんは座長という重職にあったというからでしょ。世耕さんは正直申し上げると参議院の本会議場でね、かなり岸田さんに厳しいこと言ったと。そのときそのときの執行部の思惑でね、もう大体決めるんですよね。今回のことは事の重大性に鑑みて、本当に党が心から反省してることを示さないといけないのに、まずは岸田さんが「お咎めなし」みたいな感じですよね。私自身思うのは、今回の処分というのは非常に不透明で、なおかつ誰も納得しないんじゃないかなと。結局これでは、逆に信頼回復どころか、ますます、みんなが不信感を持ったのではないかと思って心配してるんですよ。

子育て支援金 健康保険料に上乗せでは「本来の目的に外れる」

ーーこのあとの国会で、もう一つ重要な問題は子育て支援金です。年収ごとの負担額というのが出てきまして、年収600万円の場合、28年度は1000円になると。使い道は「児童手当の拡充」「妊娠出産時の給付」「共働き支援するための経済支援」ということですが、どうご覧になりますか?

村上誠一郎・元行革担当大臣:
今回の支援金のことなんですが、少子化対策の基本というのは子育て世代の金銭給付の拡充じゃなくて、結婚や出産する女性が働きやすい環境作りが大事だと思うんです。それからもう一点は未婚率の改善ですね、これが優先されるのに支給ということばっかりして本当に効果があるのかと。特にこの支援金の問題点は、少子化対策をしていて出生数の増加にどこまで結びつくか不明なんです。それから二番目は、未婚率の増加の大きな原因は、女性がキャリアを目指すと、相変わらず労働時間や残業とか、そういう環境を改善しないのに、そういう人たちが結婚を断念するケースが増えてるんです。三番目にこの一番大きな問題点は、健康保険料に上乗せして徴収するということは、本来社会保険は病気のリスクに備える社会保険制度であって、その保険料の負担金を上乗せすることに、健康保険制度の本来の目的は私は外れてると思うんですね。

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