海外でも活躍し「世界のナベサダ」の愛称で知られるサックス奏者・渡辺貞夫さん。91歳になった現在も全国ツアーを行うなど、精力的に音楽活動を続けています。パワフルでユーモア溢れる姿を独占密着。生涯現役を貫く舞台裏を喜入友浩キャスターが取材しました。
「サックス一本で世界中を旅できる。音を出せば、人と交流できる」生涯現役の“世界のナベサダ”
8月、東京・港区のブルーノート東京のステージに立つのは、ジャズ・ミュージシャンの渡辺貞夫さん(91)。今なお日本各地で年間60公演以上を行っています。
1984年にリリースした「ランデブー」は、アメリカでも大ヒットした代表曲で、ジャズチャート全米2位を獲得しました。
ステージに立ち続けて半世紀以上の渡辺さん、1995年に紫綬褒章、2005年に旭日小綬章を受章。“世界のナベサダ”は生涯現役を貫きます。
地方公演2日前、東京・新宿で行われたリハーサルにお邪魔して、お話しをうかがいました。
ーー大切にしていることは?
「結局みんなの一体感ですよね。気分というか。みんなが同じ世界に入っていないと音楽にならないですから」
ーー朝は何時に起きるんですか?
「(起床は)4時です。朝の散歩を6時くらいから7時くらいまで。それで朝飯食って、朝飯というかトースト1枚ですけど。それから昼寝。9時くらいから楽器をちょっと吹いて 」
ーー体力的にはまだまだ?
「いや、もう結構ガタが来てますからね。体中、ガタが来てますから」
ーー音に変化はありますか?
「音は鍛えてますから変化はないです。前よりもいい音を出そうと思ってますから。僕ら音が命ですからね、みんな僕の音聞けば『貞夫の音』だって分かってもらえますから。それが生きがいでやっているわけで」
「アメリカ映画に登場したサックスの音色に憧れて」18歳でサックスをはじめたといいます。29歳のときにアメリカの名門・バークリー音楽院に留学、サックスと出会って73年、世界を舞台に活躍しています。
渡辺さん
「この楽器一本で世界中を旅できる。行くところで音を出せば、人との交流ができるし、ありがたいですよね。ここのところ暇だから昔のことを振り返ってみることもあるんですけれど、その時代、その時代、精一杯のいい音を出してますね。結構頑張ってるな」
2024年も50公演以上を予定「パワーは衰えているかもしれないが、思いっきり吹き続けたい」
7月、群馬・伊勢崎市の「メガネのイタガキ文化ホール伊勢崎」で行われた公演当日。 会場に入って5分後にはサックスの音が響きます。
本番前にはホールの響きを確認するルーティーンへ。
渡辺さん
「僕は(マイクを通さない)生音でやりたい、本当はね、どこでも。今でもステージの最後は生音でやっています。これが本当の僕の音ですよと」
会場には幅広い世代の観客が集まりました。
ロシアによるウクライナ侵攻以降、平和を願いライブで演奏しているといいます。平和への願いは新作スタジオアルバム「PEACE」にも込められています。
「PEACE」や「BUTTERFLY」、「WAITING SONG」など全16曲を演奏し、およそ2時間のステージとなりました。
渡辺さん
「ライブは一番励みになるし、何から何まで見えるじゃないですか。自分の演奏も、お客さまの反応も、バンドの状態も、これは年取ったおかげだと思います」
ーーこれからやりたいこと、夢や野望はありますか?
「このままいければいいなと思っています。野望とか大げさなことはなしで、このままステージ続けていけたらありがたいですね」
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