都市部と地方の格差是正を目的に2008年に始まった「ふるさと納税」。それぞれの自治体が寄付額に合わせて、様々な返礼品を出しています。
そのなかでも一際目を引くのがこちら、野球のカウントボードです。
一体なぜ返礼品に採用されたのでしょうか。
「1番高い返礼品なのでは…」ひときわ異質放つ『ふるさと納税返礼品』
青森県おいらせ町の「ふるさと納税返礼品」が紹介されているサイトです。「ニンニク」や「ナガイモ」など地元の名産品の中に異質を放つ返礼品があります。
須崎蓮 記者
「野球やソフトボールで使われるカウントボード。こちらふるさと納税の返礼品なんです」
2022年に返礼品に指定されたこのカウントボードは、サイズに応じて24万円と60万円の2種類が用意されています。
おいらせ町商工観光課 鈴木陸都子 主任主査
「ふるさと納税にしたら話題性はあるなと、町の中で1番高い返礼品になるのではないかと期待していた」
町の担当者もこう言い切り「返礼品」となった「カウントボード」。
そもそもなぜ、おいらせ町の返礼品がカウントボードなのでしょうか?
「JAXAから受注したことがありまして…」
宇宙スケールの事業にも協力経験があった『カウントボード』の製造元
ボードを作っているのは、町内でLEDの製品などを作っている団体「Sayer(セイヤー)」の代表理事・橘 昭彦さんです。橘さんは団体の前身となる電子製品の製造会社で、カウントボードにも使われる照明装置の製造技術を活用し、宇宙スケールの事業にも協力した経験があります。
Sayer 橘 昭彦 代表理事
「JAXAから受注したことがありまして、宇宙空間(の実験)でLEDを点灯させたいという要望で、実際に実験の結果『成功した』という連絡をもらいました」
橘さんは、15年ほど前からカウントボードを製造していて、全国200か所以上の野球場に納品。町の返礼品募集に応募してみたところ採用されました。
町は話題性を重視して決定したため、申し込みがあるか未知数でしたが、2023年11月に初めて寄付金額60万円の申し込みがありました。
初申し込みに『驚き』と『喜び』「こんなに技術が高い物があるとは…」
おいらせ町商工観光課 鈴木陸都子 主任主査
「驚いたのと、うれしくて思わずSayerに直接朝から電話しました。『本当か』と繰り返されました」
町は、ふるさと納税を通じて地域の知られざる産業を知ってもらうきっかけにもなっていると話します。
おいらせ町商工観光課 鈴木陸都子 主任主査
「私自身こんなに技術が高い物が町にあるとは知らなかった。高い技術が町にあるということを全国に発信できるというのは、ふるさと納税の魅力の一つだと思う」
Sayer 橘 昭彦 代表理事
「PRにもなるし、町のためにもなるし、非常にいい制度だと思う。(町に)貢献できたと思いますし、もっといろんな商品を登録できればいいと思う」
町では今後も地元産の製品を幅広く返礼品に指定し、地域の文化や産業を知ってもらいたいとしています。
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