県内41市町村の魅力をお伝えする「わがまちLink41」。今回の記事では本部の公設市場の話題をお届けします。
▽比嘉チハルリポーター
「本部町渡久地にやってきました。潮風かおる港町のランドマークのひとつが、本部町営市場です。コンパクトな建物にキュッと詰まった、この土地ならではの魅力を探ってきます」
本部町の町営市場には、肉・魚などの生鮮品を扱う昔ながらの店と、若い世代が営むカフェや雑貨店が混在しています。
今回、マチグヮーの魅力を教えてくれるのは、市場の世話役的存在の知念沙織さん。「豆花(とうは)」という台湾スイーツのお店を営んでいます。
さっそく市場めぐり。まずは、香りに誘われて…
▽知念沙織さん
「カツオ節を本部町で唯一、削りながら売っている仲村商店さんです」
▽仲村たかさん
「削りますか?」
カツオ節の量り売りをしている仲村商店。店主のたかさんが、その場で削ってくれます。
▽知念沙織さん
「市販のものと香りが違うから、本当にいい味噌汁ができる」
▽仲村たかさん
「お椀にカツオ節を入れて、味噌を入れてお湯かけて、一番健康にいい。風邪薬!」
今となっては珍しい、なつかしの味を守る人もいます。
玉城商店3代目の淳さんが作る「うむがー焼き」。今川焼に似ていますが、タピオカ粉入りの生地は、ヒラヤーチーのように、少しモチっとした食感です。
▽玉城商店 玉城淳さん
「昔からの沖縄のおかしで、あるんですよ、ずっと何十年も」
「このプレートが、戦後ずっとあって。おばあたちが適当に庭先で、飛行機をつぶして、これを作ったと。ジュラルミン、飛行機の残骸です」
飛行機に使われていた金属を再利用した焼き型。戦後の生活の知恵が詰まったおやつです。
▽比嘉リポーター
「おいしい!」
市場の歴史は明治時代にさかのぼります。
離島と那覇を結ぶ中継地として栄えた渡久地港のそばに自然発生。沖縄戦を経て、1967年には現在の建物となり、地域の台所としてにぎわってきました。
しかし、1975年の海洋博覧会以降、大型店舗の進出に押され、市場は徐々に活気を失っていきます。
それでも、2006年に始めた手作り市の効果で、若い経営者も集まるように。
工房を構え、創作活動に励む人もいます。
また、夕方になると…
▽知念沙織さん
「子どもたちが放課後の…なんだろ、宿題中?」
▽中学生
「勉強しに来ました、たまに来ます」
空きスペースが、子どもたちの居場所に変身。
「明るいし、人もいるのでいいかなと。なんか観光客の人も笑顔で入っているのをよくみるので、いいかなって」
子どもに人気の場所は他にも。
創業およそ60年の西平精肉店。店の壁に、ぎっしりと書き込まれているのは…
▽西平精肉店 西平睦子さん
「お誕生日になると、みんな身長を測りに来るんです。「ほなみちゃん」ていうのは名古屋の子なんだけど、毎年測って書いていて、もう、二十幾つになっている。だから私たちもこれが楽しみで」
しめくくりは、知念さんの夫が営むカフェへ。
ふたりは、市場で洋品店をしていた正作さんの祖母の影響もあって15年前に店を構えました。
▽知念正作さん
「何も買わないでも、おしゃべりで来たりとかそこに座ってたりとか、声かけたり、かけられたりとか。そんな場所、なかなかないですからね、最近は。もちろん商売のためにやっているんだけど、まちづくりのためにというか」
▽知念沙織さん
「お客さんも自分たちもだけど、孤立しないというところが、一番あるかもね、自分たちも安心しているっていうか」
買い物に来た人もそうでない人も、なんだか居心地のよい本部の町営市場。本部町を訪ねると、商いの場所というよりも、田舎の親戚の家のような、懐かしくてほっとする空間が広がっていました。
<記者MEMO>
本部町営市場では、今月27日には、おいしいものや素敵な雑貨が揃うイベントも予定されています。市場の雰囲気をぜひ直接感じていただきたいです。(取材 比嘉チハル)
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