観光客の急激な増加で町の人たちのガマンの限界を超えるオーバーツーリズムの対策として、青い池などで知られる北海道美瑛町が、新しい税金の導入に動き始めました。
10月17日、美瑛町で開かれた検討会。テーマは、観光客から新たに徴収する「税金」です。
検討委員会委員長 北大大学院 石黒侑介准教授
「町の今後を左右する極めて重要な議論だと思うので、いつもどおり、皆さんのきたんのない意見をいただければと」
3月に撮影した美瑛町の観光スポット「クリスマスツリーの木」です。
道路の片側にはレンタカーなどが並びます。そして、道路脇では踊りながら動画を撮影する人も。
金子将也記者
「美瑛町の人気スポットであるクリスマスツリーの前に来ているのですが、前には、立ち入り禁止などと書かれた看板が多く並んでいます」
また、7月の「青い池」の周辺では。
貴田岡結衣記者
「青い池の駐車場の入り口です。見てください!ずらっと車が並んでいて、今日は平日の昼なんですが、少なくとも1km以上の渋滞となっています」
美瑛町を訪れる観光客は2023年1年間に「239万人」。これは、町の人口の250倍以上で、駐車場の整備や監視カメラ設置などのオーバーツーリズム対策が町の財政を圧迫してきました。
一方、観光客の9割以上は日帰り客のため、宿泊税だけでは税収が見込めない現実もあります。
美瑛町角和浩幸町長
「財源をこれからは確保していかないと持続可能な観光が成立しない」
美瑛町角和浩幸町長
「事業者・専門家にさまざまなアイディアを出してもらう中で、美瑛にふさわしい新しい観光に対する財源の形を探ってもらいたいと思っている」
検討会が出した答えは、観光客から薄く広く税を徴収すること。宿泊客には、1人1泊300円の「おもてなし税」を。また、日帰り客には青い池の駐車料金として、普通車で1台1000円の「おでむかえ税」を集めることにしたのです。
検討委員会委員長 北大大学院 石黒侑介准教授
「合わせて1つのコンセプトの中で異なる税制を組み合わせることは新しい取り組みなので、われわれ専門家としても、どうやって実際に制度に落とし込んでいくか、事業者・町民に理解してもらえるものにするか、難しい議論だった」
10月16日には、検討会の専門家が町民向けに講演し、新税のメリットなどを解説しました。
町民
「オーバーツーリズムの現状というのもよく報道されるし、そこを何とかしなければいけないのは皆さん理解している。(新税に)期待している。(対策に)効果的になればいいと思う」
検討会は、10月21日に町に提言。
これを受けて美瑛町は条例化を進め、早ければ2025年秋に新税が始まる見通しです。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。