今月27日に投開票が行われる衆議院選挙について、JNNが序盤情勢を分析した結果、自民党が大幅に議席を減らし、15年ぶりに単独過半数を割り込む可能性があることがわかりました。
■自民単独過半数割れの可能性 立憲は40近く議席増やすか?
きのう公示された衆議院選挙について、JNNではきのうからきょうにかけて全国の有権者に対しインターネット調査を行い、取材を加味して序盤の情勢を分析しました。
それによりますと、自民党は議席をおよそ30減らし、2009年以来15年ぶりに衆議院で単独過半数を割り込む可能性があることがわかりました。また、公明党も小幅に議席を減らす可能性があります。ただ、自公では過半数を維持する見通しです。
一方、野党では立憲民主党は議席を40近く増やす可能性があります。また、日本維新の会と共産党などは議席を減らす可能性がある一方、国民民主党は大幅に議席を増やし、れいわ新選組も議席を増やす可能性があります。
ただ、全国的にみると接戦となっている選挙区が多いうえ、今回の調査ではおよそ5割の人が、まだ投票先を決めていないと答えていて、今後、情勢が変わる可能性があります。
こうした中、東京17区では、これまで圧倒的な強さを誇っていた自民党の大物議員が今回、非公認となり、混沌とした情勢になっています。
■“裏金非公認”重鎮議員の闘い “乱立”東京17区は
映画「男はつらいよ」。シリーズの舞台、東京・葛飾区柴又。ここにもう1人、「つらい」状況に追い込まれている人がいます。
平沢勝栄 元復興大臣
「圧勝で勝たせてほしい、ぜひ。中途半端に勝っても…、いろいろあったから…」
平沢勝栄元復興大臣です。自民党の派閥の裏金問題で今回は非公認となり、“無所属”での選挙戦となっています。
4人が立候補している東京17区。平沢氏と争う3候補は「政治とカネ」を争点に厳しく迫っています。
共産・新井杉生候補
「この東京17区から出ている自民党の方も裏金議員です」
共産党の新井杉生氏は「裏金政治を許さない」と糾弾します。
共産・新井杉生候補
「本当に金銭感覚が狂ってるといいますか、庶民の納税意識と全く違うですね、次元のことがまかり通ってる。庶民の痛みのわかる政治に転換をする」
地元の商店街を練り歩き訴えるのは、日本維新の会の猪口幸子氏。「お金の問題で、この葛飾区が取り上げられることが悔しい」と話します。
維新・猪口幸子候補
「今こそ、公平な政治、全世代が公平で幸せを享受できる、その政治を目指しております」
一方、国民民主党の円より子氏は「誰がやっても政治は変わらない。そんな政治に終止符を打ちたい」と話し、政権交代を訴えます。
国民・円より子候補
「皆さん 自民党の体質は変わっていません。この体質を変えなければ、どんなに顔が変わったって、日本の政治は変わりません」
ただ、こんな本音も…
国民・円より子候補
「(平沢候補は)元々大変お強いから…。非公認でもお強いんじゃないですか」
地元の有権者は…
80代男性
「やっぱりね一番ね、響いてるのは金銭問題だよね。やっぱりね、考えちゃうよね」
この選挙区では、野党の候補者が乱立。“非公認”となった平沢氏から選挙区を奪う絶好の機会にもかかわらず、平沢氏の強固な基盤の切り崩しは難航しています。
先月の総裁選では、石破総理に「寅さん」のコスチュームを着せて、勝利に一役買った平沢氏。ある“約束”もしていたと言います。
平沢勝栄 元復興大臣
「総理とは応援する際にいろいろな約束をさせていただきました。私はもちろん いろいろ問題がありました。まあ言いたいこともいろいろあります」
“非公認”となり、約束が反故にされたかたちの平沢氏は、周辺にこんな怨み節も。
平沢元復興大臣(※周辺に対し)
「永田町というのは、狐と狸の化かし合いというけれど、こんなにひどいのは見たことがない」
自民党“非公認”の平沢氏に3人の野党候補が挑む東京17区。今回の衆院選の縮図が垣間見えています。
■自民単独「過半数割れ」か 衆院選27日投開票
井上貴博キャスター:
解散時の勢力をみてみると、自民党は単独で過半数を取っていました。
【衆議院】解散時の勢力(過半数233)
自民党 256
公明 32
立憲 98
維新 43
共産 10
国民 7
れいわ 3
社民 1
無 14
今回、JNNが行った情勢調査では、自民党単独だと過半数割れの可能性が出てきました。一方、自民・公明両党の与党で言うと、過半数を維持できそうだということです。
自民・公明両党でも過半数割れの恐れもあると一時言われていましたが、今回は免れたということでしょうか?
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
序盤の調査や取材も加味した状況では、今のところは自民単独の過半数割れの可能性があるということです。ただ、5割ぐらいの方が投票先を決めていないので、あくまで序盤の状況ということです。
■野党共闘進まず“一騎打ち”減
井上キャスター:
毎度選挙で言われることですけれども、与党vs野党の一騎打ちの構図がいかにして作れるかというところがポイントで、今回は52の選挙区で一騎打ちとなりそうです。
前回の衆議院議員選挙では“一騎打ち”が217選挙区あったことを考えると、1対1の構図になかなか野党としては持っていくことができない。裏を返すと、早く選挙に流れ込むことが与党を利すると言われていて、これが数字に表れているということですか。
岩田政治部長:
一つは、時間がなくて調整できなかったことですが、もう一つ大きいのは「政治とカネ」問題で自民党が議席を減らすと見られている中で、各野党も「だったらそこを自分たちが取りたい」ということです。
現状の議席を維持しながら「なるべく1議席でも取りたい」と各野党も必死です。なので、野党同士で話して、「譲りますよ」という話になかなかならずに、各党が懸命に自分たちの議席を増やす戦いになっているということです。
ホラン千秋キャスター:
野党としても戦い方はかなり難しいということですか?
岩田政治部長:
野党もたくさん候補者を出しているので、選挙区でも勝負をして、比例の獲得にも繋がるように、今、野党の候補者が乱立しているという状況です。
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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
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