◆つつましく働く人が抱える問題や貧困の解決を
「労働者のことを考えてほしい」と語る尾林哲矢さん=東京都内で
首都圏青年ユニオン・尾林哲矢事務局長(27)=多摩市賃上げが物価高に追いつかず、生活は良くなっていない。社会保険料負担での「年収の壁」があるために、働く時間を減らす人が増えるので、賃上げできないという企業もある。もう少し年収の基準を引き上げてもらわないと困る。 労働相談では、シフト制で働く時間を極端に減らされた人がいた。生活できず、失業に備えた保障も極めて弱い。就職先を見極められず、不本意に働いている人もいる。失業しても十分に生活できるよう保障される「失業する権利」を認めることが、労働条件の底上げになる。政治的なてこ入れが必要だ。 裏金を受け取った議員は、お金のある企業や人の言葉を聞いて動く。つつましく働いている人が抱える問題や、貧困の解決に取り組まない。政治家の役割を放棄しているのと同じ。労働者の方を向いた政治家が増えてほしい。(竹谷直子)
◆独立国として対等な関係を結ぶ政党を
米軍横田基地の前で「対等な日米関係を」と求める福本道夫さん=東京都福生市で
横田基地公害訴訟原告団団長・福本道夫さん(74)=東京都昭島市3歳から米軍横田基地近くの都営住宅に住み、騒音に悩まされてきた。家族での会話も、耳元に近づいて大声を出さないと聞こえない。1日の半分くらいは、そんな時間が占めた。 横田基地の公害訴訟に長年携わってきて感じるのは、日本は米国に何も言えないということ。米国では市街地の近くで訓練をしないのに、日本ではしている。米軍人と比べて日本人の人権ははるかに下。それが現れているのが、日米地位協定だ。 衆院選に向けて協定の再交渉を掲げる政党もあるが、現状では何を改定したいのかが分かりづらい。午後10時以降の夜間訓練の制限を破っても、本来米国が支払うべき損害賠償を支払わなくても、日本政府は米国に何も言えない。どの政党が政権を取っても、独立国として対等な関係を結ばなければ、基地の問題は解決しない。(長崎高大)
◆避難者に向き合い、命と健康を本当に考える国に
「避難者に向き合って」と訴える山根昭平さん=東京都足立区で
原発事故避難者支援を続ける精神保健福祉士・山根昭平さん(73)=東京都足立区東京電力福島第1原発事故で、福島から東京に避難した人々への支援を続けてきた。事故から13年半がたつが、いまだに問題は山積みだ。なのに、衆院選の争点や候補者が掲げる政策に原発関連や避難者支援はほとんどなく、見捨てられたと感じる。 福島第1原発の廃炉作業は終わっておらず、原発事故で避難した人はまだ多くいる。私が関わっている避難者には、放射能の健康被害を不安に感じ続けている人や、心労でなかなか仕事に就けない人もいる。避難指示区域外から避難した人たちの住宅の無償提供が打ち切られたときは、行政は当事者の声に耳を傾けていないと感じた。 国は二度と事故を起こさないよう、原発をやめて再生可能エネルギーに転換してほしい。避難者に向き合い、人々の命と健康を本当に考える国になってほしいと思う。(小寺香菜子)
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