急速に高齢化が進む日本。「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者になる、いわゆる「2025年問題」が差し迫っています。
国民の5人に1人が後期高齢者となる時代、ますます需要が高まる介護業界の現状と課題を取材しました。

「おはようございます」

島根県出雲市にある介護施設セカンド・サロンえるだー。
続々と利用者がやってきます。
ここに集まるのは、皆それぞれに認知症や障害など、繊維活に困難を抱える人たち。

セカンド・サロンえるだー 黒松慶樹さん
「えるだーは、『小規模多機能型居宅介護』という、普段あまり聞き慣れない名前かと思うんですが、巷では『在宅生活最後の砦』というふうにも言われたりしています」

「在宅生活最後の砦」、一体どんなものなのでしょうか?

Q.今からどちらへ?
黒松さん
「今から利用者さんのところに訪問と、デイサービスの迎えにいきます」

小規模多機能型居宅介護とは、▼通い(デイサービス)▼訪問(ホームヘルプサービス)▼泊まり(ショートステイ)を柔軟に組み合わせて利用できる介護サービスのこと。同じ事業所内・顔なじみの職員が対応するため、一体的なケアが可能になります。

黒松さん
「おはようございます、えるだーです。どげですかね体調は?」
利用者
「絶好調です!」

この日、まず訪れたのは、息子さんと2人暮らしの高齢男性のお宅。
日中は息子さんが遠方に仕事に出かけるため、いわゆる「日中独居」の状態になり、えるだーの通所や訪問サービスを日常的に利用しているといいます。

体温や血圧などのバイタルチェック、そして、薬をきちんと服用できているか確認すると…

黒松さん
「ちゃんと水分とってる?」
利用者
「とってるよ」
黒松さん
「ちょびっと足りてないかも」

取材したのは7月の猛暑日。
水分補給ができているかどうかも、しっかりチェックします。

黒松さん
「じゃあまた夕方来ますけんね、お昼ごはんもしっかり食べてね!」

えるだーのサービスは、利用者の「自宅で生活したい」という希望をかなえるためのもの。

セカンド・サロンえるだー 黒松慶樹さん
「いわゆる『サブスクリプション』という形で、月額制いくらでその方に必要なサービスを提供できるという形です」

きょうは訪問、あすは通い、週末は泊まり…など、それぞれに合った形で利用できるというわけです。

在宅生活を支える細やかなサービス。
提供するためには人手が必要ですが…

セカンド・サロンえるだー 黒松慶樹さん
「国が示している基準の職員数では、やっぱり対応できないことがほとんどです。」

今、課題となっているのが『介護人材不足』です。

団塊の世代が皆75歳以上の後期高齢者になってしまう来年、いわゆる「2025年問題」が待ち受けています。
日本の人口の5人に1人が後期高齢者になる時代、介護需要は高まる一方で…

セカンド・サロンえるだー 黒松慶樹さん
「入浴と食事と排泄のお世話をして、それで低収入なんでしょう?って言われると、そんな仕事を誰もやりたくないじゃないですか。
私の身近では、進路指導で学校の先生が介護職員になりたいという生徒さんに対して『介護職員じゃなくて看護師になれ、看護師の方が給料がいいから』とおっしゃったという話も聞いたことあります。
利用者のQOL(生活の質)を高めるための仕事の1つとして、手段として、排泄・入浴・食事っていった介助があるわけですけど、どうしても世間ではそこだけがクローズアップされて、これが介護職員の仕事だというふうに思われている。」

介護人材不足の一因には、世間のイメージもあるのではないかと黒松さんは話します。

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