秋に旬を迎える味覚のひとつ「ギンナン」。
独特な苦みや風味にとりこになる人もいますが、道端で見かけると、なんとも耐え難いにおいを発していますよね。
しかし、ギンナンが臭いのには、ちゃんとした理由があるんです。
小林健和キャスター
「秋の味覚の一つ、ギンナンを素揚げでいただきます…このホクホク食感最高においしいです。一口サイズなのでいくらでも食べちゃいそうになります」
秋の味覚「ギンナン」。独特の風味が特徴で、好き嫌いが分かれる食べ物ではあるかもしれませんが、鳥取県米子市にある日本料理店でも、旬を迎えた今は、素揚げや茶わん蒸し・あんかけなどのメニューで提供されています。
天ぷら元禄 古瀬幸治 店主
「夜のコース料理で出しています。甘みと苦みがクセになる味だと思います。あと1か月くらいは出せると思います」
一方で、このギンナンをめぐっては、こんなふうに感じたことがある人も多いのでは…
小林健和キャスター
「私もギンナン大好きで、食べる機会も多いんですけども、食卓の場を離れると一転してですね、道端では、なんとも耐え難いにおいがします」
地面に落ちているギンナンは、食べる時とは全く違って強烈なにおいがします。
米子市内の国道9号。こちらのイチョウ並木でも、この時期は落ちてきたギンナンが車や人などに踏まれ、強烈なにおいを発しています。
街の人は
「ギンナンまみれです。なおかつ人が踏むので、で雨降るし、ぐっちゃぐちゃです。マジヤバいです。においヤバいし」
天ぷら元禄 古瀬幸治 店主
「道端に落ちていたらにおいますね。獣のにおいに近いですかね」
食べると、やみつきになる人もいるギンナン。しかし、場所を変えると嫌われ者のギンナン。
なぜこのようなにおいを発してしまうのでしょうか。
専門家に話を聞きました。
森林総合研究所九州支所 勝木俊雄さん
「いくつか成分があって、1つというわけではないんですけども、『酪酸』であるとかが中心の成分だということが言われています。人の垢がたまったようなにおいが一番近いんじゃないかと思います」
ギンナンを臭く感じてしまう理由。その正体は、ギンナンの「種皮の外層」と言われる、いわゆる果肉部分に含まれている「酪酸」という成分です。
「酪酸」は人の足から発せられる悪臭や人の排泄物に含まれている成分でもあることから、不快に感じる人も多いということです。
食べるときのギンナンは、においの原因となっている外側の果肉部分が取り除かれているため、においを気にせずに食べられるというわけです。
ではなぜ、ギンナンはこのようなにおいを発するのでしょうか。
実は、ギンナンがなるイチョウの木の、いわば生存戦略でもあると言います。
森林総合研究所九州支所 勝木俊雄さん
「動物に種を食べてもらうためということが言われています。いわば、動物の死体みたいなものと似たにおいになるので、タヌキって、食べたフンを割と1か所にドカンとフンをするんですけど、そういった所に、フンの中に含まれていたギンナンが、何十個も一斉に発芽するというのを見ることできます」
この臭さは、獣の食べ物のにおいにも似ています。
つまり獣が食べたギンナンがフンと一緒に様々な場所に広がる仕組みになっているのです。
秋の味覚「ギンナン」。一方で食べすぎるとめまいや呼吸困難、けいれんなどの食中毒症状、いわゆる「ギンナン中毒」を起こし、場合によっては死ぬ恐れもあるため、食べ過ぎないよう注意が必要ということです。
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