ノリノリで決めたダンスもあれば「ありのままで飾らない!」「むしろバラバラがいい!」それぞれの個性を大事にするダンスもあります。障がいのある人たちの表現の魅力と可能性に注目するシリーズ「アートミーツハート」です。

元気と笑顔がいっぱい、個性あふれるダンスチーム「カラフルキッズ」です。

富山市にある放課後等デイサービス「カラフル富山」。
週1回、子どもたちがレッスン場に集まってきます。

ダンス講師 杉浦絵美さん「はるくん、どれ好き?はるくん、どれ好き?」「はるくん、これじゃない?」

ダンスの曲名が書かれたカード。中川春希さん(13)がゆっくりとカードを指さします。

ダンス講師 杉浦絵美さん「何を踊りたいかっていうのを伝えられない子どももいるので、そういう時は例えば『これが踊りたい』っていうふうに踊りたい曲を聞いてます」

ダンス教室に通っているのは、知的障がいやダウン症、発達障がいなど、様々な障がいや特性のある子どもたちです。

空手が得意で運動神経抜群の進野愛莉(しんの・あいり)さん(15)を中心に、小学生から高校生まで個性豊かなメンバーがそろっています。

記者「ダンスが好きなの?」
進野愛莉さん「うん、好きだよ」

ダンス講師 杉浦絵美さん「表現力がすごくて、普通は恥ずかしいってなって、ちっちゃい踊りになっていくんですが、愛莉の場合はもう本当に湧き出てくるようなのがすごく伝わってきます」

1年前に開講したばかりのこのダンス教室。
講師を務めているのは、元保育士の杉浦絵美さんです。

杉浦さんにとって、障がいのある子どもたちに本格的にダンスを教えるのは初めての経験。最初の半年間は「支援をしなきゃいけない」「運動能力をつけてあげたい」と難しく考えすぎて悩んでいたといいます。

ダンス講師 杉浦絵美さん「音楽がダンスが心に作用するなっていうのがわかってきて、支援の視点ももちろん大事だけど、それよりも心を大切にする、心を満たしてあげられるような、そういうレッスンにしようってちょっとシフトチェンジした時からなんかちょっと変わってきたというか。楽しくなってきて、みんなと一つになってきた感じがありますね」

レッスンでは、曲に合わせた振り付けやステップの練習もしますが、思いっきり音楽とダンスを楽しんで心を解放できることを一番大切にしています。

中川春希さんのお母さん「仲いいみなさんと毎回踊れて楽しみにしてて、なおかつ体も引き締まって食欲も整って便通も整って、睡眠も整って、いいこと尽くめ」

記者「こうちゃんはダンス好きですか」
塩野公太くん「ダンス」
塩野公太くんのお母さん「体を動かしたりとか、好きな音楽に触れるっていうことが本人にとっていいこと、楽しいことなんだなって気づけたのが私にとってはすごくよかったです」

子どもたち同士の関係も少しずつ変わってきました。
障がいの特性で自分の世界に閉じこもりがちだった子も、少しずつ「仲間」とのつながりができてきました。

記者「ダンスは好きですか?」
竹歳悠くん(15)「ダンス好きですね。一緒に愛莉ちゃんとうれしい、ダンス踊ってうれしいかなと思いますね」

記者「この教室来てよかったなって思うことは?」
小田切雪乃さん(13)「友達がいるから」「きれいに踊るのを見てほしい」

ことしの夏から発表会にも出演し始めた「カラフルキッズ」。
人前でもレッスンと変わらず、ぐるぐる回ったり踊らなかったり。
自分らしさ全開です。

ダンス講師 杉浦絵美さん「本当に私バラバラがいいと思っていて」「ありのままっていうか、飾らないし、うまくみせようとしない、そのまんまの表現。自由でいいんだな、そのままでいいんだなっていつも思っています」

ダンス講師 杉浦絵美さん「生きづらさを抱えている人ってたぶんたくさんおられると思うんですけど、そのままでいいんだよっていうことをこの子たちを通して伝えられたらいいなって思います」

チューリップテレビでは11月9日、障がいのある人の表現をテーマにしたシンポジウム「アートミーツハートとやま」を開きます。


当日午後3時からは障がいのあるなし関係なく音楽とダンスを楽しむインクルーシブなディスコ、「みんなのだんだんダンスフロア」を開催します。
今回ご紹介したカラフルキッズのみんなもダンスフロアを盛り上げに来てくれる予定です。

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