北海道札幌市の男子児童が男子中学生から性的な被害を受けた問題について、第三者委員会は8日、学校側の組織的な対応や、専門職との連携が不充分だった点などを指摘しました。

 被害児童の保護者
「お母さんとして出直したい。いっぱい泣いてる姿とか怒っている姿を(子どもに)見せたくなかった」

 こう話すのは、2021年5月に、同じスポーツ少年団の中学1年の男子生徒から、性的被害を受けた男子児童の母親です。

当時、小学3年生だった息子は、被害のショックからストレス障害と診断されました。

母親はすぐに警察に相談。

男子中学生は、家庭裁判所で保護観察処分となっています。

 8日、母親の要望から始まった、第三者委員会による調査結果が報告されました。

小学校では、母親の被害の訴えに組織的な対応をせず、さらに、12月に母親が提出したいじめの調査の要望書も留保したため、教育委員会が要望書を受け取ったのは翌年4月でした。

 被害児童の保護者
「教頭先生が笑顔で『お母さんそこまでやらなくていい』『お母さんそこまで大変なことしなくていい。ぼくがちゃんと預かっておきますから』って言った。まさかこの流れで、金庫の中に数か月間も保管されることにつながると思っていなかった」

 いじめ防止対策推進法では、保護者から調査の申し立てがあった場合は、すぐに対応することが明記されています。

また、加害生徒の中学校は、警察から「動かないでほしい」と伝えられていて、被害児童の母親から2人が顔を合せないよう通学路を変えてほしいという訴えに、すぐに対応していませんでした。

 調査検討委員会 加藤弘通委員長
「(警察は)加害生徒に対する指導や、聴き取りをやるなという話だったと思う。イコールいじめに対する対応をするなではないはず」

 報告書では、学校がスクールカウンセラーや、スクールソーシャルワーカーなどの専門職と連携する必要性を指摘しました。

また、今回のように複数の学校が関係するケースでは、学校ごとの対応ではなく、教育委員会が主導的な立場で関わることを求めています。

 調査検討委員会 加藤弘通委員長
「性が関わる問題に対しては、学校の先生がすべて対応するのは難しいと思うので、経験値の限界を踏まえたうえで、速やかに専門家に助けを求める体制を整えてほしい」

ことし4月に改定された、札幌市のいじめ防止の基本方針では、各学校でいじめに関する定例会議を月1回開くこと。

さらに、いじめの疑いがある場合には、すぐに会議を開くこと。

他の学校との間で問題が発生した場合は、他校と連携すること。

学校のいじめ対策組織の中に、養護教諭やスクールカウンセラーなどの専門職が入ることを必須としています。

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