アパートの隣の部屋に住む男性に暴行を加え死亡させた罪に問われた女に対し、広島地裁は7日、懲役5年の実刑判決を言い渡しました。動機の背景には、騒音トラブルがありました。
傷害致死の罪に問われたのは、広島市西区に住む無職の女(65)です。
判決によりますと、女は去年7月、自宅アパートの通路で、隣の部屋に住んでいた男性(当時80)の顔面を複数回平手打ちするなどの暴行を加え、転倒した男性の上半身をさらに踏みつけるなどして死亡させました。
裁判では、女がなぜ男性を死亡させるにいたったか、その動機が語られました。
2011年11月、女はこのアパートに入居しました。
(弁護側の被告人質問)
Q.このアパートに引っ越してきた理由は?
A.ネコが飼いたかったからです。
死ぬまでに一度飼ってみたかったので。
Q.ご近所付き合いは?
A.あまりありませんでした。
Q.アパートに住んでいて気になったことは?
A.隣の部屋から強くドアを閉めるような大きな音が聞こえる様になりました。
Q.いつから?
A.2023年3月からです。
Q.どこかに相談した?
A.家主や警察、区役所にも相談しましたが、解決することはありませんでした。
Q.生活に影響は?
A.とにかくうるさかった。あと、ネコの毛が抜けるようになりました。
事件が起こった2023年7月17日。
法廷で女は、当時の状況を次のように語りました。
(弁護側の質問)
Q.この日は何をしていましたか?
A.日中はネコと遊んでいました。
Q.その後は?
A.また隣の部屋からドアの音が聞こえてきました。
Q.音が聞こえてきてどうしましたか?
A.隣の部屋のインターホンを鳴らしました。
Q.なぜ?
A.我慢の限界で、一言文句を言わないと気が済まなかったからです。
Q.男性から反応はありましたか?
A.しばらく経ってから玄関の扉が開きました。
Q.そのとき男性から何か言われましたか?
A.何も言わないまま、左あごを突然殴られました。
Q.殴られた後どうしましたか?
A.顔や頭などを立て続けに殴られたので、手で顔を覆い、しゃがみ込みながら「助けて」と叫びました。
女はその後の行動については、「殴られて気を失っていたので、あまり覚えていない」と繰り返しました。
弁護側は、その後も男性は暴行を続けていて、女は自分の身を守るために男性の頭部や腹部などを数回踏むにとどまっていたと主張しました。
一方、当時の様子を写した動画や目撃者の証言からは、一方的に女が男性に暴行を加われる様子が明らかになりました。
検察側は近隣住民が撮影していた動画や目撃者の証言から、アパートの通路でしばらく揉み合いになった後、女が男性に馬乗りになったと主張しました。
その際、「死んでしまえや」「人の迷惑を…」「お前殺す」などと暴言を浴びせながら、平手打ちや踏みつけるなどの暴行を加え続けたといいます。
そして男性からの抵抗が無くなった後、女は110番通報し、「じじい生きとんか?」「隣の人に殴られてやり返した」「(警察に対し)今まで放置しとったんじゃけぇ、はよ来いや」などと発言したといいます。
さらに、目撃者の証言では、この110番通報から警察官が到着するまで、男性を踏みつけるなどの暴行は続いていたといいます。
司法解剖の結果、男性には肋骨の骨折や内臓の損傷などありました。
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