埼玉県川口市や蕨市で外国人差別をあおるデモや街頭活動が頻発しているとして、市民団体が4日、「ヘイトスピーチを禁止する県条例の制定に向け、検討委員会を設置してほしい」と県に請願書を提出した。「標的にされる外国籍の人に恐怖を抱かせて深く傷つけ、日本人の住民も含めて平穏な生活が脅かされている。早急に対応を」と求めた。(出田阿生)

県の担当者(右)に請願書を手渡す市民団体のメンバーら=県庁で

 団体は県民らでつくる「ヘイトスピーチ禁止条例を求める埼玉の会」。共同代表の斎藤紀代美さんや小川満さんら5人が人権・男女共同参画課を訪れ、今川知浩課長に書面を手渡した。  請願書では、県内のヘイトスピーチの事案を収集して知事に報告することや、禁止条例案策定のために専門家や当事者らを交えた検討会の設置を求めている。

◆ニセの合成画像がネットに拡散している

 斎藤さんは「クルド人が日本人を排斥するかのようなニセの合成画像がネットにばらまかれるなど、事態は深刻になっている。一刻も早い対策が必要だ」と指摘。在日コリアンへの差別扇動も続いており、自らの体験として「さいたま市浦和区の在日本朝鮮人総連合会の建物周辺では、街宣車10台が大音量で『出ていけ』などと叫ぶ様子を目の当たりにした」と伝えた。  県は昨年から、ヘイトスピーチによる被害事例を把握した市町村に前年度の件数の報告を求めているが、2022年度は1件、23年度はゼロ。「埼玉の会」のメンバーの1人は「実態を全く反映していない数字で意味がない。県としてもっと積極的に情報収集し、不当な差別を許さない対策を取ってほしい」と訴えた。 

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