3日に公開手配された男…。東京・埼玉で相次いだ強盗事件の実行役とみられています。男は今も逃走していますが、事件のあと、東京の西部を転々としていたことが新たにわかりました。

半袖、半ズボンにマスク姿の男。誰かと連絡を取り合っているのか、手にスマホのようなものを持っていました。警察が3日に公開手配した森田梨公哉容疑者(24)。埼玉県所沢市で起きた強盗傷害事件の実行役の一人とみられています。

1日の未明、所沢市の住宅に男4人が押し入り、高齢夫婦から現金8万円などを奪った事件。森田容疑者は、現場に駆けつけた警察官を振り切って逃走しました。

捜査関係者によりますと、森田容疑者は事件の直後、埼玉県内から何者かが運転する車に乗り込んで、東京・小平市のJR新小平駅に移動。そこからタクシーに乗り、東京・東村山市内で10時間ほど滞在したあと、再びタクシーに乗って別の場所に移動したということですが、その後の足取りはわかっていません。

事件をめぐっては、ほかの実行役3人がすでに逮捕されていますが、このうち一人が警察の調べにこう供述しているといいます。

佐藤聖峻 容疑者
「東京・国分寺市の強盗も私です」

所沢市の事件の前日、およそ11キロ南にある東京・国分寺市で強盗傷害事件が起きました。この現場近くの駐車場で確認されたのが所沢市の事件で公開手配された森田容疑者とみられる男。この駐車場に止められていた車は、所沢市の事件現場の近くで押収されていて、森田容疑者が運転していた疑いがあります。

所沢と国分寺、2つの強盗傷害事件に関与した疑いが浮上した佐藤容疑者と森田容疑者。

捜査関係者によりますと、佐藤容疑者は秘匿性の高い通信アプリで“指示役”とやりとりしていて、国分寺市と所沢市の事件で同じ名前のアカウントから指示を受けていたということです。

また、佐藤容疑者を含む実行役の4人全員が犯行の際、耳にイヤホンをつけていたことも判明。背後にいる“指示役”の指示を受けながら犯行に及んでいた可能性があります。

逮捕された実行役3人
「身分証の写真をアプリで送っていて、指示役に『逃げたら殺す』と言われて抜けられなかった」

ここ1か月であわせて4か所で強盗傷害事件が起きています。これらの事件の関連性については警察が捜査を進めていますが、いずれも実行役は「闇バイト」で集められ、指示役が犯行を指揮していたとみられています。

先月、さいたま市で起きた強盗傷害事件。実行役の4人全員が逮捕されていますが、このうち一人はこう供述しているといいます。

実行役のうちの一人
「SNSで『ドライバーの仕事 ホワイト案件』などと書かれたアルバイトの募集を見つけて応募したが、気づいたら強盗に関与していた」

今回の一連の事件とは別に、過去に闇バイトをしていた男性が犯罪グループに脅されていた実態を語りました。

闇バイトをしていた男性
「車のナンバープレートの偽造だったり、SNSで詐欺、あと受け子、かけ子、転売とか」

10代の頃、闇バイトを繰り返し、およそ2年前から少年院に入っていたという男性。きっかけは、仕事の仲介をしていた知人から「高額な報酬を得られる」と話を持ちかけられ、犯罪だと知らずに闇バイトに手を染めてしまったといいます。

闇バイトをしていた男性
「僕は知らなかったので、犯罪というのを。なので『やります』と。『やります』と言ったら全部(個人)情報を渡さないといけない。『仕事飛んだら追いかけるからな』みたいな感じで。だから『絶対飛ぶなよ』って。(逃げたら)追いかけて監禁したりとか、殺すまではいかないけどボコボコにして、その辺の森林に投げ捨てられたりとかがあると言われた」

罪を犯した少年たちの支援をしているNPO法人「陽和」の渋谷幸靖理事長。闇バイトなどに手を染めてしまう若者たちは「孤立」していることが多いと話します。

渋谷幸靖 理事長
「例えば、親がいなかったりとか虐待にあっていたり、貧困であったりとか。自分が困っている、悩んでいることを相談できる相手が誰もいない」

そして、そうした若者たちが犯罪グループにだまされたり脅されたりして闇バイトから抜け出せない状況に陥ってしまうといいます。

渋谷幸靖 理事長
「お金欲しさにやっていることなので、何も疑うことなく、免許証なりマイナンバーカードを出してしまう。『家族に迷惑がかかるぞ』と言って脅される。その結果、その子たちが(闇バイトを)やめられなくなる。怖くなって」

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