北朝鮮拉致被害者の横田めぐみさん=失踪当時(13)=が5日に60歳の誕生日を迎えるのを前に、母早紀江さん(88)が3日、川崎市内で記者会見し「ただ帰って来てくれさえすればいい。黙って抱きしめたい」と語った。

◆「あと何年生きられるか…戦わなきゃ」

 生まれた時の「初めて抱っこした時の重たい感触が忘れられない」といい「めぐみちゃんが60歳になるなんて、信じられない。絵を描くのも歌うのも好きだったし、どんな職業に就いていたかなあと、よく思う」と語った。

横田めぐみさんの写真を手に思いを語る母早紀江さん=川崎市川崎区で(小倉貞俊撮影)

 手元には、めぐみさんの写真と、自宅から持参した手のひら大のつぼ。めぐみさんが小学生の頃の遠足で「お母さんが好きそうなつぼがあった」と土産に買って来たといい、早紀江さんは「心遣いがうれしかった」と笑みを浮かべた。  ただ、拉致問題が親子を引き裂き、47年たった今も苦しさとむなしさの中にいる。夫の滋(しげる)さんは2020年6月に87歳で他界。自身も昨年、狭心症で倒れた。「あと何年生きられるか」と危機感をにじませ「弱ったらおしまいと思って頑張ってきた。戦わなきゃ、取り返してあげなきゃ」と力を込めた。

◆連絡事務所案「懐柔されかねない」

 石破茂首相は以前から「東京と平壌に連絡事務所を開き、情報共有を進める」と主張。早紀江さんは「北朝鮮に懐柔されかねない。ただ帰してくれればいいだけ。日朝会談で、首脳同士が目を見て話すのが一番」と一刻も早い解決を改めて願った。(小倉貞俊) 

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