高齢化が進む中、いま広がりを見せているのが介護美容です。大分市内で介護美容の取り組みを始め、奮闘する女性を取材しました。

高齢者や介護が必要な人にメイクなどを施し、心身をケアする介護美容。長尾夏音さん(31)は、県内の病院で作業療法士として7年間勤めたのち、2021年に自分が目指していた介護美容の事業を立ち上げました。

NextLifeデザイン合同会社ラナン代表 長尾夏音さん:
「サポートできるサービスがあれば良いんじゃないかと思って開業し、この道に進みました」

人工呼吸器など日常的に医療的ケアを必要とする人たちも利用する大分市にある老人ホーム「Greenガーデンアトリオ高江」では、2023年から施設の利用者に美容サービスを提供しています。

この日は、筋肉がだんだん痩せていく難病のALS患者の徳丸さんがサービスを受けました。ひらがなで書かれた文字盤を使い、まばたきの回数を合図にコミュニケーションをとります。

長尾夏音さん:
「ALSの方は目を使ってコミュニケーションするので、目の周りや頭皮がかなり疲れやすい。日頃の目の疲れ、脳疲労をとれるようにしています」

全国で介護美容事業を行っているミライプロジェクトによりますと、介護美容の利用者数は、昨年度およそ2万人に上り、2年間でおよそ7倍に増えています。

この日、徳丸さんはフェイスマッサージとドライヘッドスパのサービスを受けました。

Greenガーデンアトリオ高江 児玉美佳施設長:
「神経難病を抱えている利用者がいて、なかなかベッドから離れて生活をするというのが難しい状況ですが、そんな方たちにも少しでも安らぎのある時間を持ってもらいたいと思って導入しました。すごくいい笑顔がみられたり、夜ゆっくり休めるようになったり、良い効果が得られていると思います」

介護美容は、利用者が全国的に増える一方、県内では広く認知されていないのが現状だといいます。長尾さんはサービスを広げようと、自分と同じセラピストを育成するビジネススクールの運営も行っています。

長尾夏音さん:
「仕事中、自分もすごく学ぶことも多いですし、笑顔になって元気になる姿を見ると、やりがいを感じることができます」

「元気なシニアが増えるということは、地域や社会にとっても良い方向になると思っているので、こういう活動をしたい方のロールモデルになれればと考えています」

いつまでも美しくいたいという思いにこたえる介護美容。県内でも広がりを見せていきそうです。

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