富山大学附属病院では、10月1日から心と体の性が一致しない、いわゆるトランスジェンダーの当事者に対する外科手術の一部が保険適用で受けられるようになりました。トランスジェンダーの研究を進める「日本GI(性別不合)学会」が認定したもので全国では9番目、日本海側では初の認定施設です。

富山大学附属病院は、2021年に心と体の性が一致しない、いわゆる「性別不合」の当事者に外科治療を行う「ジェンダーセンター」を設置し「乳房切除」といった “性別を適合させる手術” などの外科治療を自由診療で実施してきました。

このほど、3年間の実績がトランスジェンダーの研究を進める「日本GI(性別不合)学会」の基準を満たしたことから、10月1日からホルモン治療を受けていない当事者に限り「性別適合手術」の一部に保険適用が認められました。

富山大学附属病院の記者会見(10月1日)

“多様な性のあり方の一つ”の認識へ…

富山大学によりますと、生まれた時に割り当てられていた身体の性別と、性の自認(ジェンダー・アイデンティティー)が一致しない人たちは「性同一性障害」とよばれていましたが、近年は病気や障害ではなく、多様な性のあり方の一つであると認識されるようになっています。

さらに「性同一性障害」は最近、正式に「性別不合」と変更され、病気から切り離されています。

北陸中心に “3年間で20人” の性別適合手術

当事者への医療サポートは、精神的サポートと身体的治療に分けられ、このうち身体的治療は、ホルモン療法と外科手術があります。

富山大学附属病院のジェンダーセンターは2021年に設置され、これまでの3年間で北陸地方を中心に20人の当事者に対し「乳房切除」といった “性別を適合させる手術” などの外科治療を実施してきました。

外科治療では “身体は女性でも性の自認が男性”という「トランス男性」の乳房切除手術が全体の9割を占めているほか、子宮や卵巣の切除、陰茎や精巣の切除といった性別適合手術も実施しています。いずれの手術も自由診療で費用は60万円から100万円ほどということです。

当事者の希望に寄り添った治療へ…

1日の記者会見で富山大学附属病院ジェンダーセンター長の佐武利彦医師は「保険適用になったことで当事者のメリットは大きくなりました。相談や治療の件数が今後も増えていくことが見込まれ、引き続き安全で確実な手術ができるよう環境を整えていきたいです」と話しています。

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