先日、ニューズナウでご紹介した、枕崎市の鹿児島水産高校に今月入学した新入生です。なんと、御年68歳。校内最高齢・高校1年生の1日に密着しました。
枕崎市の鹿児島水産高校。1年生のクラスには10代の中にひとり、貫禄のある男性。この春、食品工学科に入学した、鮫島耕児さん(68)です。
創立115年の水産高校史上、最高齢の新入生です。
(鮫島耕児さん)「高校2年生のときに物理が途中で分からなくなった。それが就職して社会人になってからも頭にあって。もう1回勉強したかった」
苦手だった科目を学びなおすため、去年秋から受験勉強を開始。1日およそ10時間、机に向かいました。
(鮫島耕児さん)「年とって記憶力が鈍るので、重複して問題を解くことを徹底した」
結果は、晴れて合格。68歳の高校生活がスタートしました。
妻と2人で暮らす枕崎の自宅から学校までは15分。校則で車通学が禁止されているため、バイクです。
1時間目は保健の授業。テーマは「健康と寿命」です。
(教師)「みなさんは何歳まで生られるか。隣の人と話してみて」
(生徒)「80以上」
(鮫島さん)「85。それ生きられたら儲けもん。深刻だから」
体育の授業も、筋肉痛と戦いながら、10代のクラスメイトと同じ内容をこなします。
(鮫島耕児さん)「足がだんだん上がらなくなって縄が引っかかった。やべ、こんなはずじゃなかったって(笑)」
1974年=昭和49年に水産高校の漁業科を卒業した鮫島さん。遠洋漁業の漁師や研究船の船長として世界各国をまわってきました。
(鮫島耕児さん)「船員しか見られない景色。夕日が沈むのを見て疲れが取れる」
船上では、10代から60代のおよそ30人の船員たちをまとめてきました。船内と学校のクラスは、似ている部分があるといいます。
(鮫島耕児さん)「(どちらも)共同生活。輪を乱すと船内融和が無くなるので、輪をちゃんとしないと」
50歳以上、年の離れたクラスメイトたちからは・・・
(クラスメイト)「やさしい。みんなを引っ張るリーダー」
耕児さんや鮫ちゃんの愛称で親しまれています。
(クラスメイト)「学生時代の恋バナ聞きたい」
(鮫島耕児さん)「今みたいにラインがないから手紙。恥ずかしくて直接渡せないから、友達にこれ渡してって」「いつ以来だろう、こんな話するの」
ただ、ちょっぴり飛ばしすぎると・・・
(鮫島耕児さん)「絶対、俺を待っている人がいるって、山口百恵の歌じゃないけれど」
(クラスメイト)「分からない。時代が・・・」
時にはジェネレーションギャップも楽しみながら、クラスメイトたちと友情を育んでいます。
(鮫島耕児さん)「休み時間にクラスメイトと、わいわいするのが本当に楽しい」
授業を終えた鮫島さんが向かったのは・・・
(記者)「放課後の体育館では運動部が練習に励んでいる。鮫島さんはバドミントン部に入部し、毎日汗を流している」
バドミントン部では、年下の先輩と一緒に切磋琢磨しています。
(2年生)「年齢差はあるが友達みたいな感じで良い」
勉強にスポーツに友情・・・。
鮫島さんの2度目の青春は、生徒だけでなく先生にとっても刺激になっています。
(クラスメイト)
「いろいろな国をまわっているので、どんな国に行ったのか聞いてみたい」
「授業でたくさん答えていて、すごい」
(担任 幸田成樹先生・35)「勉強する姿や立ち居振る舞い、生徒たちとのコミュニケーションなど学ぶことは多い」
卒業するころには、71歳の鮫島さん。“学びに年齢は関係ない”ことを体現したいと意気込みます。
(鮫島耕児さん)「生きがいは、彼らと接しながら勉強をしていること。やりたい時がやり時。周りの目を気にしていたら何もできない。パイオニア的な存在になって、同世代の方も学びに来られることを望んでいる」
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