JR只見線は、2011年の豪雨災害で一部区間が不通となり、おととし全線での運転を再開してから、10月1日で2年となりました。只見線では1日、記念の観光列車が運行され、多くの人が2周年を祝いました。

のどかな田園風景の中を走る列車。福島と新潟を結ぶJR只見線が全線で運転を再開してから2年を記念して、1日、観光列車が運行されました。只見町では、列車に向けて手を振る地元の人たちの姿が見られました。

地元の人「私が中学に通うのにこの列車を使いました。只見まで。あの頃は蒸気機関だったけどね」

JR只見線は、2011年の豪雨で、橋が崩落するなど大きな被害を受けました。不通となった会津川口ー只見間は当初、廃線の議論もありましたが、地元が存続を要望。そして、おととし、復旧費用およそ90億円をかけて、再開の日を迎えました。観光列車には、3つのツアーあわせておよそ60人が乗り込み、只見線沿線の観光名所を巡りました。

新潟県から参加した人「ここは高原だから花の色がきれいなんですよ、素晴らしいの。景色も素晴らしいし、いいなと思います」

「只見線は地域の宝」

また、1日の観光では只見線の停車駅のひとつ「会津塩沢駅」も見学しました。駅舎の壁には、絵本作家の吉田瑠美さんが手がけた只見町の美しい田園風景が描かれています。

南相馬から参加した小学生「すごく再現されているなって思った。小さいうさぎとか」

吉田さんは日本と台湾の合作映画「青春18×2君へと続く道」で只見町出身のヒロインが描く絵画の製作を担当しました。台湾でも大ヒットしたこの映画とウォールペイントで、町は国内外からの観光誘客につなげたい考えです。

只見町・角田祐介さん「只見線はこの地域の宝だと思う。これを大切に育てたいと思うし、みなさんには只見線があるからこの地域に来たいと思ってもらえるような取り組みをしていきたい」

町では、今後、今回のような臨時の観光列車とは別にオリジナル観光列車の運行を検討しているほか、会津蒲生駅でもウォールペイントを実施したい考えです。

課題は「利便性」と「赤字路線」

一方で、只見線には課題もあります。

まず1つ目が「利便性」です。現在、金山町の会津川口駅と只見駅の間は平日は3往復のみの運行です。そのため地域の人からは「学校の通学時間にあわせて車両の数を増やしてほしい」また「夜遅い時間にも列車を出してほしい」などの声があるということです。

もう1つの課題が「赤字路線」だということです。再開した区間は、県や周辺の市町村が毎年3億円の維持管理費を負担することになっています。しかし、おととしの只見線は、会津坂下から会津川口の区間で9億円あまり、只見から小出の区間では、7億7300万円の赤字でした。この赤字を減らし、持続可能な路線を目指して、今後は継続的な利用客の増加などが求められます。

JRや県、地元の自治体は今回のような企画を今後も行うことで、まずは観光客を増やしたいとしています。

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