第2次大戦中の「海外戦没者」(沖縄と硫黄島を含む)の遺骨を政府が収集するペースが鈍化していることが29日、厚生労働省への取材で分かった。収容数が3年で11分の1に減った時期も。遺骨取り違え問題や新型コロナウイルス禍が主な原因。帰還を待つ多くの遺族が亡くなる中、収集対象の半数弱の約112万柱は今も現地に眠る。識者は「来年は戦後80年。国全体で収集強化を図るべきだ」と指摘する。 戦没者遺骨収集事業を担う厚労省によると、収集は1952年度に開始し、海外戦没者約240万人のうち今年6月末時点で約127万7千柱を収容。残る約112万3千柱で収容可能なのは相手国の事情で難しいものなどを除き約59万柱とされ、事業を進めている。 だがフィリピンやロシアで収容した遺骨が日本人ではない可能性が2010~19年に浮上するなどして事業が停止したり、20年以降のコロナ禍で渡航が制限されたりして収集ペースが激減。18年度は839柱だったが21年度は75柱、22年度は121柱、23年度も139柱にとどまる。
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