真夏の朝、交通量の多い観光地・伊豆半島の国道沿いを1人で歩くパジャマ姿の男の子。なぜか、ずぶ濡れ。「ちょっとほっとけない」。別荘に遊びに来ていた男性のとっさの判断が、幼い命を救いました。

8月18日午前8時半のことでした。神奈川県横浜市に住む山本和久さん(64)は、家族が運転する車に乗り、別荘のある静岡県東伊豆町内の国道135号を下田方面に向かっていると、反対側車線の道路脇を1人で歩いている幼い男の子に気づいたといいます。

当時、この辺りの気温はすでに29℃、外は炎天下でした。男の子はパジャマ姿。しかも、なぜかずぶ濡れ。山本さんは、違和感を感じたといいます。

<山本和久さん>
「別荘に遊びに来ていた孫と近いような男の子だったので、『ああ、どうしたのかな』という感じで、『ちょっとほっとけないな』というのがありました」

車から降り、男の子に声をかけた山本さん。男の子は名前も、住所も言えませんでした。現場の近くに川が流れていたことから、山本さんが「川に落ちたの?」と聞いたところ、男の子は「うん」と返したといいます。

男の子は髪や靴も濡れていたものの、幸いけがなどはありませんでした。そこで山本さんは、車の中にあった孫の服を男の子に着せたうえで、警察に通報。男の子は近くに住む4歳で、無事自宅に戻ることができました。

警察によると、男の子の父親は「自分で家から出て行ってしまった」と話しているということです。

「とっさの声かけ」から約1か月。山本さんは、一連の保護活動が評価され、警察から感謝状を受け取りました。

下田警察署の板山光宏署長が「子どもが歩いていたのは、交通量の多い国道沿い。普通の方なら通り過ぎるところを気に留めて、安全を第一に考えてくれた。着替えまでしてもらい、本当に敬意を表するところです」と2人をたたえると、山本さんは「当たり前のことをしたかなと思っているので、ここまでご丁寧にしていただいて、非常にありがたい」と恐縮しているようでした。

今後、東伊豆町への移住を考えているという山本さん。「子どもはかわいい。安全に過ごしてほしい」とおじいちゃんの顔をみせました。

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