記録的な豪雨に襲われた石川県・能登地方では、25日も捜索が続いています。孤立状態となった地区では、“空飛ぶ捜索医療団”が支援にあたっています。

■60代女性見つかる 妻を探し続けた夫は…

災害の発生から5日目。輪島市久手川町では、午前6時から自衛隊など、あわせて440人が捜索にあたりました。

午前9時すぎ、住宅近くの土砂の中から女性を発見。安否不明になっていた井角祐子さん(68)の死亡が確認されました。

大雨の翌日から毎日この場所を訪れ、妻を探し続けた夫の隆さんは…

井角祐子さんの夫 隆さん
「川の両岸にいて別れ別れになって、祐子に家に避難してと私が言ったんですよ。本当に見つかって良かったです。(Q.どんな方だった?)朗らかで元気で。子ども、孫思いでしたね。外に、山の方に逃げていたら多分、結果論ですけれど、助かっていると思うんです…」

塚田川沿いではいまなお、中学3年の喜三翼音さん(14)、前川政二さん(80)の安否が分かっていません。

■「取り残された人がいると要請」“空飛ぶ医療団” ヘリで孤立地区へ

一方、珠洲市に拠点を作り、支援・救助活動を行っている団体、NGOの「ピースウィンズ・ジャパン」。その名も空飛ぶ捜索医療団。

ピースウィンズ・ジャパン 橋本笙子さん
「取り残されている人がいるので珠洲市から救助要請があって、その方々はヘリで迎えに行く」

この日、ヘリで向かったのは珠洲市仁江町。

仁江町は、地震で大規模な土砂崩れが起き、その復興が進まないなか、今回の豪雨被害に。一時、孤立状態となっていた場所です。

現場に到着すると住民の姿が…

隊員「先に3名で、私も残りますから」
隊員「みなさん大丈夫ですかね?」
住民「大丈夫」

無事、住民4人を救助しました。

救出された住民
「今回の雨は本当に生まれて初めて経験するような雨でひどかった。とにかく停電したもんで連絡がとれんし、畑も全部埋まりました」

能登半島地震以降、この場所で幅広い支援を行ってきた団体。しかし、今回の豪雨は自身も命の危険を感じ、すぐに救助に向かえない歯がゆさがあったといいます。

ピースウィンズ・ジャパン 橋本笙子さん
「本格的に動けたのは日曜日(22日)の午後くらいですね。要するに雨が止んでから。支援者でありながらも、本当にその瞬間というのは、何もできない無力さを感じました」

今後の活動については…

ピースウィンズ・ジャパン 橋本笙子さん
「今9月なんですが、最悪、避難所で年越しをしなければならない人も出てくるんではないかと予想しています。皆さんが落ち着いて生活できる環境を整えるということですね。普通の生活に戻れるように、(今後も)サポートしていくことが大切だと思っています」

能登地方を襲った豪雨では、これまでに9人が死亡、6人の行方や安否が分かっていません。

■最も欲しているのは水 泥で感染症リスクも

井上貴博キャスター:
能登地方は全国的に考えても高齢化率が高い地域です。今回の災害で車が流されて生活の足がなくなり、移動をやめるという人も増えるかもしれません。心身ともにダメージが蓄積していくことも懸念されています。

ピースウィンズ・ジャパン 橋本笙子さんによると、「一番欲しているのは水。飲み水だけでなく料理や洗濯など生活用水も必要。地震と違うのは、泥が乾いて粉じんが舞い、目の痛みや呼吸器疾患、感染症になるリスクも」ということです。

ホラン千秋キャスター:
地震で得た経験を生かせる場面もあると思いますが、大雨という違う災害にでは、ゼロからの対策を講じなければならないところもあると思います。体だけでなく心の疲労も大変心配なところです。

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