秋のお彼岸で、墓参りに行かれたという方も多いと思います。
いま墓じまいをする人が増える一方で、家の中に置くお墓も増えています。
谷垣義隆さん(65)
「多いからこっちが父で、こっちが母かな…」
いま「墓じまい」をして、供養の形を見直す人が増えています。
さらに「墓じまい」をしたあと、合葬墓に遺骨を入れたいというニーズが高まっているため、自治体では…。
札幌市ウェルネス推進部 藤田賢一 施設管理課長
「やはり埋蔵体数増えてきているものですから、(合同墓)合同納骨塚については、令和9年度ごろにはいっぱいになると予測」
今、北海道内で急速に増えているという「墓じまい」。その背景を「もうひとホリ」します。
北海道札幌市から車で約1時間。三笠市にある『北海道中央霊園』です。
「利用者の約8割が札幌市民」という、こちらの霊園で増えているのが、これまでのお墓を墓じまいするなどして、遺骨を別の場所に移す『改葬』です。
北海道中央霊園 武田寛 理事長
「地方にある先祖代々の古い墓を墓じまいをして、永代供養のついた墓に(遺骨を)移す方が非常に増えてます」
北海道内では、墓じまいを伴う「改葬」の件数が、この10年で2倍以上に増え、年間1万2000件を超えました。
これは全国最多の数です。
この霊園でも、10年前には年に5、6件ほどだった『改葬』が、いまは年200件を超え、毎日のように相談が入るということです。
この日も3組の利用者が、地方の霊園で墓じまいをして、その遺骨を納めに訪れていました。
谷垣義隆さん(65)
「多いからこっちが父で、こっちが母かな…」
実家があった夕張市のお墓を「墓じまい」した谷垣さん。
この日は、両親など9人分の遺骨を納めました。
谷垣義隆さん(65)
「無事納骨できましたので、これでちょっと一安心と言いますか、少し肩の荷が下りた…。いちばん大きい理由は、私の継承者が墓を面倒見て守っていく人がいない」
谷垣さんは3年間悩んだ末に、親族とも相談し、墓じまいを決断。
自分や親族が行きやすく、永代供養で将来も管理の心配がないこの霊園を選びました。
霊園側が「改葬」の手続きをサポートしてくれるのも決め手のひとつでした。
谷垣さんのように、お墓の”後継者問題”から、墓じまいを考える人が年々増えています。
北海道中央霊園 武田寛 理事長
「子どもが北海道内にいない方も多いですし、少子化の影響で子どもがいない。あとは一人っ子で女の子しかいないので、墓を守っていく人がいない。これは、どんどん増えていくと思いますし、この傾向しばらく続くのではないか」
さらに、北海道ならではの「お墓事情」も拍車をかけているといいます。
北海道中央霊園 武田寛 理事長
「先祖代々の墓といっても何百年も前からつながっている人も少ないし、寺と何代にもわたっておつきあいしていることも少ないので、比較的スムーズに墓じまいできる環境にあるのではないか」
こうした「墓じまい」のニーズが高まる中、遺骨の引っ越し先となるお墓も、合葬墓や樹木葬、散骨など、多様化しています。
さらに、こんな供養のスタイルも…。
誠心堂店舗 運営課札幌地区 須藤伸敏 エリアマネージャー
「こちらは、本当の墓の石を使った墓石になっております」
札幌市の仏壇・仏具店『誠心堂』が去年から販売している「わがやのおはか」です。
小さな墓石の中に骨壺があり、遺骨を納めることができます。
家の中にあるお墓として、毎日お参りできるのが特徴です。
誠心堂店舗 運営課札幌地区 須藤伸敏 エリアマネージャー
「お骨を身近に少量でも残して自由な形で供養したいという。お客様の多様化するニーズに応える、思いを形にするために、墓じまいのあとの供養の場所として販売するようになりました」
仏壇を処分する人も増える一方で,遺骨を身近においておく『手元供養』の商品が増えていると言います。その理由は…。
誠心堂店舗 運営課札幌地区 須藤伸敏 エリアマネージャー
「息子娘たちには仏壇を引き継がせないという声はかなり多いと思う。お墓も持っていないけど遺骨は少量持っていたいとなると、こういう『わがやのおはか』みたいな形に供養のしかたは多様化というか変化はしている」
さらに、こんな供養の方法も登場しています。
9月から始まったサービス、インターネット上に作られた仮装空間「メタバース」の霊園なんです。
手がけたのは埼玉県の冠婚葬祭に関する事業を手掛ける「アルファクラブ武蔵野」。
スマホ、パソコンからアクセスできて、海外からでもアクセスできるそうです。
マイルームという部屋のようなものを作って、そこに故人の写真や動画を飾って、友人や家族と集まって、供養できます。
同時に30人までアクセスして、文字のチャットや音声で会話もできるそうで、故人との思い出をしのぶことができるそうです。
無料で登録ができるということです。
時代とともに変化している供養のスタイル、これからどうお墓を引き継いでいくか、ご家族でじっくり話し合って欲しいと思います。
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