毎年10月7・8・9日の3日間行われる「長崎くんち」。大人も子どもも町を上げて稽古に励む「長崎くんち」は日本一練習する祭りとも言われ、その完成度の高さは一度見た人の心をとらえて止みません。コロナ禍で3年間の休止を挟み、10年ぶりの出演となることしの7か町。本番までの稽古の様子を諏訪神社前日の奉納順にシリーズでお伝えします。
「第四番」は西濵町。勇壮な船廻しが魅力の龍船に今回は華やかな二胡の演奏が加わります。
ことし4月、龍船は造船所にありました。
西濵町自治体会長 坪田源一郎さん:
「前輪と後輪これを新しく交換しました。材木から鉄だから重たくはなっていると思います。」
船の重さは3.8トン。全長11m、くんちの演し物最大級の船です。
赤い目玉に、青い波、今回新たに船体にライトもつけられました。夜の龍船は、幻想的な雰囲気も漂います。
諏訪神社の拝殿にある、西濵町の龍船の絵馬。龍船は明治以前から続く、伝統ある奉納踊りです。
長崎市の中心部、浜町と銅座町の一部からなる西濵町。町のシンボルでもある龍船を街中でも見ることができます。
江戸時代、長崎の貿易商、荒木宗太郎に、ベトナムの王妃が龍船にのって嫁入りしたという言い伝えに基いています。
荒波をあらわす根曳たちが勇壮かつスピーディーに船を回します。船廻しの稽古は7月末から始まりました。
西濵町自治体会長 坪田源一郎さん:
「今年の根曳は元気でみんな素晴らしいです!たのしい龍船ですよ。終わった時にニコニコしてられる」
20歳~46歳、21人の根曳のうち、15人が新人です。
新人根曳の中に、3兄弟で出演する人がいます。
龍船の左舷後方で船をひく長男の航太郎さん。
右舷で船を押す三男の義之介さんは根曳最年少。
スピードと遠心力が最も増す龍頭の1人に選ばれたのは、次男の斗真さんです。龍船は3輪。スピードが出やすい分、まずはゆっくりひいて、動きに慣れます。
西濵町で運送業を営む柴田さん一家。長男の航太郎さんと三男の義之介さんは独身で実家ぐらし。
次男の斗真さんは結婚し、娘もいますが、くんちの間は夕飯は実家で食べることがほとんどです。
父・義彦さんは根曳や舵手など、過去4回くんちに出演してきました。17年前、3兄弟は囃子方と先曳き。
「勉強机のちっちゃいころころ押せる引き出しがあるんですけど、それにおれが乗ってひくみたいな。」「おい団長しよったけん。」「じゃあ義之介が乗って。」「根曳しよったけん。」
今回は斗真さんの娘、こはくちゃんが先曳で参加します。
父・義彦さん:
「家族全員で出られることほど嬉しいことはないです。孫も一緒になって出られるけん、くんちばかの家族にしては最高ですね」
父の想いを受け継ぎ、三兄弟で龍船を支えます。
龍船に活気と勢いをつけるのは、子どもたちの囃子。
小学2年生から6年生、19人の子どもたちが7種類の楽器を担当します。
囃子「リズムが複雑で難しかった」
囃子「やっていくうちにずーっとできるようになって楽しかった」
囃子「やり始めていくうちに難しいなって思ってきて楽しいに変わってきました」
船の中央、屋形を開くとあらわれる舞台。今回、その舞台で披露されるのは、二胡です。担当するのは、中国出身、京劇の舞台でも活躍したシシー・チィさん。囃子に合わせた演奏も披露する予定です。
二胡奏者 シシー・チィさん:
「子どもたちと一緒にするのが楽しみです。長崎の文化、長崎の一番元気な姿を伝えられたらいいなって思います。」
稽古が始まって1か月。龍船を綺麗に回すことを目標に稽古に励んできた根曳たち。立ち姿、力強く見せる所作など、息を合わせ、豪快な船廻しを披露できるようになりました。龍頭の次男、斗真さんもスピードに乗って・・・。
根曳・次男 斗真さん:
「本番は最初から最後まできれが落ちないようなみせ方をできたら嬉しいです」
福を呼ぶ「ヤーハー」の掛け声とともに回る船。
白采・川副 竜太郎さん:
「今回根曳がすごく若返っているので、スピード感も増してより一層豪快な船廻しができると思うんですよね。二胡とのコラボレーションも素敵なものになると思います」
豪快で勇壮な西濵町の龍船が諏訪の舞台を盛り上げます。
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