大相撲秋場所は、石川県津幡町出身の関脇・大の里が2度目の優勝を13勝2敗で決めました。プレッシャーがかかる状況でも自分の相撲を見事に貫いた“角界の新星”は、驚くほどのスピードで番付上位に駆け上がろうとしています。

秋場所の大の里の取組を振り返ります。

初日は“ヒヤリ”も序盤は万全の相撲で優勝争いをリード

【初日】 〇大の里(1勝) はたき込み 熱海富士
熱海富士の低い立ち合いを胸で受けた大の里。右が入り、左からおっつけようとするも熱海富士は下がりません。熱海富士は左の上手を離さず前に出ようとするところ、土俵際で大の里は左足一本で残り、はたき込みで勝利しました。終始熱海富士に攻められたものの、逆転で勝った大の里。初日は「勝負に勝って相撲に負けた」一番でした。

【3日目】〇大の里(3勝) 寄り切り 王鵬
2日目は翔猿を退け2連勝の大の里の対戦相手は、祖父は大横綱・大鵬、父は元関脇・貴闘力という“角界のサラブレッド”王鵬でした。
立ち合いは胸で受けてから、大の里は圧力で勝っていました。たまらず王鵬が左にいなすと頭をつけて一気に前に出ます。寄り切りで3連勝とします。

【6日目】〇大の里(6勝) 押し出し 正代
元大関・正代との一番。もろ手突きの立ち合いから左のおっつけで正代の右を完全に封じます。最後は「一丁あがり」と言わんばかりの体勢で勝利しましたが、徹頭徹尾前進相撲で6連勝としました。

ストレート給金で無類の強さ 「左おっつけ」が大きな武器に

【8日目】〇大の里(8勝)押し出し 御嶽海
7連勝、土つかずで迎えた中日は、元大関・御嶽海との取組でしたが、大の里は立ち合いはもろ手突きでいきます。左差しから少し体勢が崩れながらも、遮二無二前に出て御嶽海を土俵の外へ。勝ち越しのプレッシャーがかかると思われる一番でも会心の相撲を見せ、ストレートでの給金直しとなりました。

【10日目】〇大の里(10勝) 寄り切り 霧島
全勝の大の里に対し、1敗の状態で追いかける関脇・霧島との対戦です。立ち合い霧島は変化。慌てず得意の右を差した大の里は左で強烈におっつけます。寄り切りで霧島を下しました。6日目の正代戦のように左からのおっつけが大きな武器になっていることを印象づける一番でした。

3連敗中 “鬼門”の豊昇龍に完勝で2度目のV

【14日目】〇大の里(13勝1敗) 押し出し 豊昇龍
12日目に初めて土がついた大の里。12勝1敗で迎えた14日目、勝てば優勝が決まる一番の相手は大関・豊昇龍です。過去3回の対戦ではいずれも敗れていて、いわば“鬼門”の相手ですが、一度は呼吸が合わず仕切り直しになります。

仕切り直し後は、立ち合いもろ手突きでいった大の里は豊昇龍に何もさせず押し出しで完勝。大一番でも堂々とした相撲で2度目の優勝を決めました。

大の里は、2度目の幕内優勝に加え今場所は三賞を敢闘・技能とダブルで受賞する活躍を見せました。得意の右差しはもちろん、おっつけなど左からの攻めも今場所は光りました。

入幕から5場所での大関昇進が確実な状態ですが、横綱を目指す過程でも、さらに相撲を進化させるに違いありません。

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