秋といえば行楽シーズンで外でお弁当を食べる機会も増えるなか、気になるのが食中毒です。お弁当作りでどんなところに注意が必要なのか取材してきました。
訪ねたのは広島女学院大学で食品衛生を専門とする溝口嘉範教授です。RCCスタッフの弁当作りの様子を確認してもらい注意点を聞きました。
まず最初はお弁当定番、卵焼きです。
広島女学院大学 溝口嘉範教授
「卵はサルモネラ属菌という菌がいることがあります。これも75℃で1分ですね。十分に中心部まで加熱をするってことが大事」
ご飯やおかずを温めるときは食中毒菌を死滅させるため中心温度が75℃で1分以上の加熱が目安です。そのため半熟の、ゆで卵や卵焼きはお弁当に適していません。
RCCスタッフ 生島麗
「冷凍ご飯を冷蔵庫から取り出してレンジでチンしています」
次の注意点は解凍後や炊きたての熱々のご飯です。
広島女学院大学 溝口嘉範教授
「まずは室温に早く冷ますということが大事になります」
米を薄く伸ばして広げたりクールダウンプレートなどを活用したりして素早く冷ますことで水分が発生し菌が増えるのを防ぎます。
続いての注意点は忙しい朝に便利な“作り置き”です。
RCCスタッフ 生島麗
「お母さんが昨日作ってくれたお惣菜を詰めたいと思います」
広島女学院大学 溝口嘉範教授
「お母さんが作ってくれたものは冷蔵庫に入っていてそのまま入れましたか?再加熱しましたか?」
RCCスタッフ 生島麗
「再加熱せずにそのまま入れました。それはちょっとまずい」
作り置きのお惣菜は低温の冷蔵庫で保存していても菌が増殖してしまっている可能性があります。
広島女学院大学 溝口嘉範教授
「基本はその日の朝に加熱調理をして作るのが、それと同じように前日調理したものも必ず当日の朝に加熱して粗熱を取って入れることが大事」
最後の注意点は…?
RCCスタッフ 生島麗
「生の明太子を冷凍して保存していたけれどそれをご飯の上にのせましたこれは…?」
広島女学院大学 溝口嘉範教授
「これはまずいです」
残念…!
自宅で調理し冷凍したおかずを“保冷剤”代わりに入れていましたが…。
広島女学院大学 溝口嘉範教授
「家の冷凍庫はー18℃くらいにしかならないのでゆっくりと凍っていく。
ゆっくりと凍ると氷の塊が大きくなり細胞のを壊してしまって解凍したときに水っぽくなって水分が出てきてしまう」
水分が多いと菌が増えやすくなり食中毒の原因になります。ただし、販売されている冷凍食品で『自然解凍可能』の表示がある場合については厳しい衛生基準をクリアしているためそのまま弁当にいれることができます。
広島女学院大学 溝口嘉範教授
「細菌性の食中毒は真夏に多いというわけではなく20℃~25℃おそういう温度帯でも食中毒の菌は増えます」
さらに気温が下がると今度はノロウイルスの食中毒が増えるそうです。
「年中食中毒は気を付けないいけないことになります」
1年中を通して注意が必要という食中毒…。
お弁当は持ち運ぶときも十分の冷やすよう注意が必要です。
お弁当と一緒にバックに入れる保冷剤はお弁当のどこに置くのがよいでしょうか?
弁当に見立てた食べ物の横と上にそれぞれ保冷剤を置いて、中身の温度変化を比較したグラフです。
保冷剤2個を弁当の上に置いた場合は3時間経過しても温度は10℃前後であるのに対して、保冷剤を横に1個乗置いたものは保冷剤なしと同様で30℃近くまで温度が上がってしまっているのが分かります。
冷気は上から下に流れていくので保冷剤は弁当の上に置くことで保冷効果が期待できます。保冷剤も入れ方1つで温度変化に大きな違いがあるのでみなさんもぜひ参考にしてみてください。
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