立憲民主党代表選挙に名乗りを上げた4人がスタジオに来てくれた。
推薦人が“演説力と中間層の支持”が魅力と推す野田佳彦元総理、推薦人が“困難から逃げることなく向き合ってきた”という枝野幸男前代表、推薦人が“発信力と国民民主との連携に期待が持てる”という泉健太代表、推薦人が“経済格差のない教育に取り組んでいる”という吉田晴美衆議院議員。
代表選間近な今、他所ではあまり聞かないことを聞いてみた…。
「『言わない』って言ったのに記者会見で言っちゃった」
2009年から2012年までの民主党政権は、マニフェストに挙がっていた政策は3分の1ほどしか実現できなかったのにマニフェストになかったこと、例えば消費増税などを断行しようとして自らの政権の首を絞めたと言われる。
立憲民主党が政権を担うなら旧民主党と同じ轍を踏むことは許されないだろう。
民主党政権の閣僚でもあった片山善博元総務相は「絶対上げないと言っていた消費税を総理になったら上げると言い出したのは何故か?」野田元総理は説明すべきと語った。
立憲民主党最高顧問 野田佳彦 元総理
「46兆入ってくるはずの税収が37兆…極めて落ち込んでしまった中で財政の健全化を図っていかなければならないって…。国民が不安に思ってる子育てのこと老後のこと…。この不安な部分に手当てを急がなければ日本の持続性がなくなる…」
言うなれば政権を取って現実が見えてきたということか…。
それにしても旧民主党のマニフェストはまずかった。泉代表は若手議員として内側から見ていたひとりだ。
立憲民主党 泉健太 代表
「それが民主党の分裂につながったのは確か。私が感じているのは約束の数が多すぎることは政権運営に負担になる。あの時は1内閣1仕事と言われるレベルのものがずらっと並んでいた。必死にやってましたけれど仕事量としてはパンクに近いことになってしまった。政権を獲って初めて分かったこともあった。半年でやると言っていたものが1年かかるとか…短期だけでなく長期でやらせてほしい公約もあるのだと軌道修正すべきだった」
枝野氏は菅内閣が消費増税を言い出した時反対したひとりだった。
立憲民主党 枝野幸男 前代表
「菅さんが(消費増税を)言い出した時、私幹事長でしたけど羽交い絞めにして止めようとした。で『言わない』って言ったのに記者会見で言っちゃった。私は反対だった。マニフェストにないことをやっちゃいけないなんてことはない。社会状況や経済状況に応じてマニフェストの関係ないこともやるんですが…すぐにできることと野党の協力を得なければできないこと、野党の協力を得てもなかなかできないことを区別しなければならなかった。ウィッシュリストであってはなかった」
吉田議員は当時まだ衆院議員の秘書だったという。
立憲民主党 吉田晴美 衆議院議員
「あの当時高揚感があったと思うんですよ。政治主導という。そこへの期待感が大きかったので落胆になった。官僚との付き合い方も衆院選一期で終わったらもう振り向かないですよね。次も担えるというのが合って動かせるものもある。現実的に動かすものと変えるものがあったのだと思う」
ジャーナリスト 後藤謙次氏
「当時の民主党は生真面目さがあったんだと思う。財務大臣を経験してどんどん財政についての造詣が深くなっていった。このままいったら日本の財政はとんでもないことになると思ったんでしょう。自民党がやってきたんだから少し放置しておこうという理屈も成り立ったんですが、それに真剣に取り組んでいった。あの時、消費増税を含む社会保障の一体改革をやってなかったらあれをやってなかったらいま日本はどうなっていたか…あれはあれで責任を果たしたと私は思う」
「みんなで力を合わせて怨讐を越えてやっていこう」
旧民主党では鳩山由紀夫氏の退陣を受けて小沢一郎氏を推すグループと菅直人氏を推すグループが対立した。旧民主党の実力者だった重鎮は当時を振り返り、今に重ねる。
元民主党幹事長 輿石東氏
「党内が“反小沢だ”“親小沢だ”そんな言葉が出てくるようじゃダメ(中略)亡くなられた野中(広務)さんが政権を維持するためには“悪魔にもひれ伏す”って言葉を使ったってエピソードがある。やっぱり自民党はしたたか…、最後はまとまる。この一致団結して政権を狙いに行くっていうのは立憲の中ではまだ弱い…」
小沢一郎氏の名は、今回の代表選でも野田氏擁立に動いたなど報じられている。後藤謙次氏は野田氏に聞きたいことがあるという。
ジャーナリスト 後藤謙次氏
「小沢さんは年齢も考え“これが最後の出番だ”と考えている。やっぱり聞きたいのは12日ですか野田元総理と小沢さんが歴史的な和解をしたという…。どういう会話をしたのか…そこが今も気になる。つまり小沢さんがどういう言葉を言ったので手を握ることになったのか…」
立憲民主党最高顧問 野田佳彦 元総理
「ま、中身を詳しくは…。ざっくりいうと、政権取りのチャンスは滅多に来ない。ひとつは93年。あの時は小沢さんが自民党を出て…、私も枝野さんも1年生議員。次が2009年。今回は久しぶりの千載一遇のチャンスだ、と…。(中略)自民党に失望して離れた人たちを狙って“穏健な保守層”までターゲットにした戦略が必要だ…という方向性で一致したので…。みんなで力を合わせて怨讐を越えてやっていこう…と共鳴しあった」
立憲民主党 泉健太 代表
「今党内で親小沢・反小沢って話は出てこないです。(中略)悪魔にでもひれ伏すというのは政権を持って旨味を知ってお金や権力を駆使してきたから、それを手放したくなくて悪魔にひれ伏すんで。我々は金の権力もない政策理念あるいは使命感で一緒になっているんで…」
立憲民主党 枝野幸男 前代表
「(親小沢・反小沢は)輿石先生が現役でやっておられた時代の話だと思います。今の立憲は私が1年泉代表が3年、民主党時代のようなバラバラなことは1件もありません…」
立憲民主党 吉田晴美 衆議院議員
「私は目指す社会を作りたいんです。立憲はここでまとまっている。理想を語るだけでなくて実現するためならあらゆる手段を使うべき。それぞれの執念がおありでしょうが」
「連立政権では国民の期待する政権はできない」
もしも次期総選挙で自公を過半数割れに追い込んだとしたら…。その場合の連立を含む政権構想を聞いた。例えば他党の党首を担いでなら連立政権が可能だとしたら…
立憲民主党 泉健太 代表
「この政治の世界あらゆることがありうる。自民党が割れてその一部と何かをするかもしれない。公明党が政権を離れ立憲とやるかも…」
立憲民主党 吉田晴美 衆議院議員
「あらゆることがあるかもしれないがやはり立憲民主党がその先頭に立つ。そうでなければこの政権交代の意味はない。(野党第一党から総理を出さなければ)意味がないと私は思う」
立憲民主党 枝野幸男 前代表
「連立政権では国民の期待する政権はできない。細川政権も民主党政権も(連立だから短命だった)今度3度目ですから…。政権を回すって事考えたら他党を担ぐなどあり得ない」
立憲民主党最高顧問 野田佳彦 元総理
「私の場合は自分の経験値を生かそうと思って今回挑戦してる。そうでないなら他の方にやってもらえばいい。経験値を生かすなら(維新の)馬場さんは私より経験はない…。私を支えてくれるなら(連携も)あるでしょうが…。(国民の玉木さんを担ぐことは?)玉木さんより私の方が経験がある」
ジャーナリスト 後藤謙次氏
「私は政権を取るためには裾野が広くなきゃいけないと思う。そこで枝野さんに伺いたい。前原誠司さんとなら手を組めるんじゃないですか?」
立憲民主党 枝野幸男 前代表
「前原さんが一個人無所属であるなら可能性は否定しませんが、維新の党に入られたら向いてる方向が新自由主義と支え合う社会で違いますから…。無所属の前原さんとは何のわだかまりもありませんから。(前原さんが維新を引っ張ってきたら?)維新が新自由主義的な考え方、あるいはカジノを勧めるとか大阪都構想のような考えをやめてくれるなら大歓迎です」
立憲民主党 吉田晴美 衆議院議員
「私はとにかく、しがらみのない吉田内閣で…ワクワクする日本にしなきゃ…」
ふと出た“吉田内閣”という響きだけが妙に心に残ったのは年寄りだけか…。いずれにしても今回の代表選。近くあるであろう解散総選挙に向かう“準決勝”という位置づけ。決勝戦で果たして政権交代なるか…
(BS-TBS『報道1930』9月17日放送より)
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