5年前、東京から宮城県利府町に移り住み、ナシ農家の道を歩み始めた新人農家は、無駄をつくらない農業を目指しています。ナシの実だけでなく「枝」もあるものに再利用していました。
SNSでの名前は「梨王子」
次々売れていく自慢のナシ。この日、9月12日は、旬を迎えている「あきあかり」「幸水」「豊水」の3種類が並びました。
客:
「はじめて聞いたんですよね、あきあかり」
ナシ農家 近江貴之さん:
「あまりスーパーでは置いてないですからね」
販売しているのは、利府町のナシ農家・近江貴之さん39歳です。
利府おもて梨園 近江貴之さん:
「最盛期で、これから9月末に1番人気の秋月とか、かおりとか、人気の商品が出てきますね。おかげさまで、たくさん(の客に)来てもらっている」
そんな近江さんのSNSでの名前は「梨王子」。農園には、書き込みを見て訪れた人もいました。
ナシを買った人:
「一生懸命発信されているので、買いやすいですね安心して。幸水が盛ん、そろそろ終わりですよという情報を出しているので助かる」
近江さんの前職は「大きい会社」だった
近江さんは、広さおよそ4600平方メートルの農園で、ナシの栽培から販売までをほぼ1人で手がけています。ナシ農家を目指したのは5年前。それまでは、全く「畑違い」の仕事をしていました。
近江貴之さん:
「元々、通信業界にいたんですけど…」
仙台出身の近江さんは大学を卒業後、NTT東日本に就職。都内で働いていましたが、会社員の自分に疑問を感じるようになっていったといいます。
近江貴之さん:
「大きい会社だったので当たり前の話ですけど、歯車でしかなかったというか。自分自身の手で目に見えるものを作って、誰かに喜んでもらうっていうことを生業にしたいと」
きっかけは自治体PRイベントでの出会い
そんなとき、東京で開かれた地方自治体のPRイベントで、利府町のブースに立ち寄ったことが、ナシ農家を目指すきっかけとなりました。
近江貴之さん:
「元々仙台出身でサッカーもやっていたので、利府ってすごい馴染みのある町で、ナシ農家の担い手不足だったり、6次産業化を含めた仕事があるということで。ものづくりと商売をやりたい気持ちと、利府町という街の親和性と色々なものがリンクして、ある程度サラリーマンやりきったし、やりたいことやってみようと」
2019年、34歳のときに会社を辞めて利府町の地域おこし協力隊に就任。先輩農家の指導を受けながら技術を学び、担い手がいなくなっていた農園を借り受けてナシの栽培を始めました。そして去年4月、自分のナシ園を開園させました。
近江貴之さん:
「自分のアイデアを具現化したい、独立して商売したいというところがあって、大きい会社で出来なかったことが今、ナシ作りで満たされている」
ナシのレトルトカレーを考案
近江さんの活動はナシの栽培だけに留まりません。地域おこし協力隊員だったときには、傷物や規格外で出荷の難しいナシに着目。ナシのすり身を使ったレトルトカレーを考案しました。
近江貴之さん:
「同じ品種でも小さなものだったり、一部傷のあるものを6次化(レトルトカレー)に回している」
さらにこんなことも…。
ここは利府町内にある陶芸の工房。ナシ園のあるものを再利用しています。
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