島根県松江市と出雲市を結ぶ一畑電車で、全国の鉄道ファン注目の前代未聞のイベントがスタートします。
一体どんなイベントなのか、先日行われた報道公開に、鉄道好きの記者が潜入してきました!

9月7日、午後9時50分。
松江しんじ湖温泉駅に到着した最終電車に、大勢の記者やカメラマンが乗り込みました。

この日行われたのは、列車の体験運転会の報道公開。
しかも、体験運転用の専用線や車庫内ではなく、普段列車が行き来する本線上で体験運転できる、というものです。
廃止された路線を観光目的で走らせている保存鉄道では、元の本線を運転できる所がありますが、現役の路線では前代未聞のこと。
鉄道大好き・BSSの入江記者ももちろん参加しました。

入江直樹記者
「運転指令、運転指令。こちら松江しんじ湖温泉2番線・・・」

列車無線で発車の許可を申請すると…

「はい、こちら運転指令です。入れ換え車両2番から1番入信了解。」

発車許可が出て、信号が変わる無線のやり取りでスタートします。
この日の体験列車は、T字形のハンドルを引くと加速、押すとブレーキのワンハンドルタイプ。
左右2つのハンドルがある車両より運転しやすいといいます。

入江直樹記者
「おっ、動き出しました。おぉ、良いな!素晴らしい!」

一畑電車の体験運転といえば、前身の一畑電気鉄道時代、当時は平田市駅と称していた雲州平田駅の車庫内で、線路に枕木を置いてほかの列車が入れないようにして行われたのが発端です。
全国でもまだまだ珍しい存在でした。

その後、2011年には車庫の一番端の線路をほかから切り離して、体験運転専用線に。
映画『RAILWAYS』を花道に
引退したレトロ電車デハニ50形を専用車両として、土日祝日の定期イベントになりました。

一畑電車 石飛貴之常務
「他社がやってないことをやるっていうことが、やっぱり大事じゃないかな。他社の真似事してたんでは二番煎じになりますんで。」

以来14年でおよそ3500人が参加し、なんと、1人で1900回以上参加した猛者もいるとのこと。
さらに、車庫内でデハニ以外の一般車両を運転できるプレミアム体験運転も年4回程開催していて人気を集めています。

ただ、現在こうした体験運転には現在全国の数十社が参入。
一畑は昭和初期製造の貴重なレトロ電車を運転できる優位性があるとはいえ、新たな切り札が求められていました。

一畑電車 石飛貴之常務
「お客様の要望を聞くと、やっぱり本線運転してみたいとか、ポイント(分岐器)渡ってみたいとかっていう、そういう要望ある中で、じゃこれをクリアするにはどうしたら良いのかな。線路閉鎖をかければ、同じように一般の方に運転して頂くことも可能ではないかなっていう風に思いまして。」

「こだわり体験運転」と題した本線上の体験運転会は終電後に開催。
ホームを出ておよそ250メートル先で折り返し、反対側のホームに移る入れ換えを2回体験できます。
雲州平田駅のほぼ倍の長さの上、そこには本物の信号や線路が分かれる分岐器があり、当たり前ですが本物の電車を走らせる充足感が格段に高まります。

体験した入江記者も…。

入)「ポイントがまだもう1つあります。」
運)「ノーズがこの辺り、停止位置が来るようにお願いします。まだまだです。後は自分の感覚でお願います。」
入)「あっ、ブレーキかかりました!」
運)「手前で止まっちゃいますね。」

加速をやり直して停車位置を調整。

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